Exhibitions展覧会

稲富春奈は、氷や透明樹脂、ガラスといった透明な素材に時間の概念をプラスして何らかの「存在」を顕在化させる作品を制作してきました。
透明樹脂の硬化時間をコントロールすることで、まるで雲から雨が降るような造形をうみだした「しずく」（2010）、カフェで以前銭湯であった頃の場の記憶を彷彿とさせるような試みの「流れ」（2011）。そして今回の展覧会では、これまでの中でも一段と、コンセプト／思考とフォルム／造形が美しく結実した「between」（2013）のKUNST ARZTバージョンをメインに展開します。

等身大のアクリルケースに温度計を封入した人体水分量と同じ体積の氷をセッティングするところから展覧会はスタートします。そして会期中の天候、温度や湿度、そして鑑賞者の体温という要素を反映させながら、水滴を生み出し、気化し、溶けるという様態を見せていきます。
我々が熱を持つ生き物であることのみならず、水や空気といった目に見えない存在を改めて感じさせてくれます。

どうぞご注目ください。
 

稲富 春奈

1987年 長崎県生まれ
2006年 私立長崎日本大学高等学校デザイン美術科 卒業
2010年 京都嵯峨芸術大学 芸術学部造形学科彫刻分野 卒業
2013年 京都嵯峨芸術大学大学院 修士課程 芸術研究科芸術表現専攻総合造形領域修了