4人組インストゥルメンタルバンドjizueがセカンドアルバム『novel』をリリースする。ボーカル曲の「kotonoha」を始め、新しい試みが詰まった本作は、タイトルの『novel』が持つ意味の通り、彼らにとって“革新的な”作品となっている。今回のインタビューでは、制作の舞台裏や曲に秘められた思いを語ってもらった。
jizue『novel』に込められた想い
—— お名前とパート、そしてバンドについて教えて下さい。
粉川 ドラムの粉川心といいます。
井上 ギターの井上典政です。
片木 ピアノの片木希依です。
山田 ベースの山田剛です。
粉川 jizueは、ピアノ・ベース・ドラム、4人組のインストゥルメンタルバンドです。2006年結成して、2007年にピアノの片木が加わりました。
—— jizueというバンド名の由来はなんですか?
粉川 綴りは違うんですけど、サッカーの元フランス代表・ジダンのニックネームから来ています。僕たちはサッカー少年団の幼馴染なんです。
—— それでは、ニューアルバムについてお伺いします。今回のアルバムのコンセプトを教えていただけますか。
粉川 特に強いメッセージみたいなものはないんです。前作の『Bookshelf』は、本棚に一冊一冊の本が収録されたという意味の作品だったので、本つながりで『novel』にしました。「novel」の意味には、小説の他にも、ノーベル賞の「革新的な」という意味もあるので、それも掛けています。
—— アルバムのタイトルは皆さんで案を持ち寄って決めたのですか?
粉川 そうですね、4人で。何個くらいあったっけ?
片木 いっぱい出したなあ。
粉川 その中でどれが一番いいか選んで、『novel』にしました。
—— 曲目を見ると、日本語をローマ字で表記した曲名もあれば、そのまま英語や日本語を曲名にしたものがあります。使い分けはどのように?
井上 曲を作る時は題名がぼんやりとあって、それが曲名にそのまま付いています。
粉川 ふる里は特に意味があるよね?
井上 実家のスナックの名前が「ふる里」っていう店名なんです。
山田 本当は英語で統一したかったんです(笑)
片木 でもどうしても譲れないって(笑)
粉川 日本語じゃないとあかんのや!と(笑)
井上 曲自体も、田舎の大自然をイメージできる曲なんです。
—— 曲はどのように作っているのですか。
井上 今回で言うと、僕が作り込んできたものをスタジオに持って行って、みんなでさらに広げていくことが多かったですね。他のメンバーが作ったものもあります。
前作から広がりを見せるjizueのサウンド
「こうじゃないといけない!みたいな、変なこだわりはそぎ落とされた」
—— 前作に比べて、サウンドやバンドのグルーヴなど、違いを実感するところはありましたか。
粉川 ありますねえ・・・。ドラムが自分で買ったセットになったんです。音的にはそこがでかいですね。ジャズのキットを使っているんですけど、それが面白い音になっているかな。
片木 ライブはエレキピアノでやっているんですが、グランドピアノで録りたいという希望があったので、グランドピアノでレコーディングをしました。
粉川 あとは、前作から2年経っているので、各自のスキルも上がっているのでスムーズに進みました。
山田 ベースはソロパートがあったり、使ったことがないエフェクトを使ったりしました。ベースも新しくなりました。
井上 ギターも前と違うんです。
—— レコーディングはどのくらいの期間で?
片木 期間は短かったですよ。めっちゃタイトなスケジュールでした。
井上 2日間くらいで録りを終えて、あとは僕が持ち帰って編集をして・・・。結局一ヶ月くらいでできあがったんかな。
片木 井上くんがミックスもマスタリングもしているんです。
—— 通して聴かせてもらった中で、特に印象に残ったのが「kotonoha」と「pray」の二曲でした。「kotonoha」はボーカルも入った特徴的な曲ですね。
粉川 これは挑戦的な曲ですね。
片木 作詞は粉川くんがほとんど手がけています。
粉川 前作やデモはインストで出しているんですね。ずっと音楽をやっている中で、歌や言葉に力があるなと思って、入れてみたいと思ったのがひとつのきっかけでした。
—— 他のメンバーの方は、その「歌を入れたい」というアイデアに対してどう思われました?
片木 歌は一番伝える力を持っているので、いつかやれるタイミングが来ればいいなと言ってました。制作している間にも、世の中にもいろんなことがあって・・・次のアルバムはエネルギーを伝えられるものにしたかったんです。それもあってすんなり「歌モノも入れよう」ってなりました。
山田 歌もそうなんですけど、バイオリンとか別の楽器の音を入れてみたいのはありましたね。
粉川 もともとはラップを入れようかとも話してたんですが、最終的には自分らでやろうって。ボーカルは片木と井上で歌っているんです。
片木 思い返すと前のアルバムは、ギター・ベース・ピアノ・ドラムの4つの音で作りたい思いがけっこうあったんですよね。今回は、シンセや井上くんが打ち込みで作った曲もあって、サウンドが幅広くなっていると思います。
山田 柔軟になったね(笑)
片木 こうじゃないといけない!みたいな、変なこだわりはそぎ落とされましたね。
井上 実際に歌ってみて、録っている時は気持ちよくって。やっぱおれは歌うためにバンドやってるんやなって(笑)
粉川 ・・・今のは韻シストの言葉ですね。
井上 これ、今日言おうって思ってて(笑)今後広げていけたらという可能性が見えたんです。曲も今までにないくらい明るくポップないい曲やなって思います。
—— 続いて「pray」についてお聞きしたいと思います。
粉川 これは隠れメインの曲やね。
—— 内省的な旋律から始まりますが、どことなく前に進んでいく楽観的な雰囲気も感じさせる曲でした。「pray」という単語は昨年の震災の際にもよく使われた単語でしたが、この「pray」が意味する祈りはどのような意味を持っているのでしょうか。
粉川 まさにそれ、ですね。
片木 この「pray」はアルバムの中で唯一私が作った曲です。もともとは、メンバーのことを思って作った曲で、自分の大事な人に、「大事だよ」という思いを伝えられる曲にしたかったんです。曲作りは普段粉川くんを除く三人でやっているのですが、この曲は私が作り始めた2年前からなかなか形にならなくて眠っていた曲なんです。でもメンバーは急かすこともなく、待ってくれて、その間に震災もあって、やっとできて。この曲を通じて、誰かに思いが伝わって、何かが生まれたらいいなと思います。
井上 聴いた時はすごくいいメロディやな、さすがピアノで作る曲やなと思いました。ライブでも毎回形が変わる、きれいな曲になっています。
粉川 作り始めた当初から優しい印象の曲でしたね。その世界観を壊さないようにずっと練りあげていきました。
山田 優しくて、片木の人間性がよく出ている曲だなと思います。
リリースツアーに向けて。そしてjizueにとっての京都とは。
—— このアルバムを引っさげてツアーも始まります。意気込みのほどはいかがでしょうか。
粉川 意気込みはもうね・・・言葉にできないくらいありますね。
片木 ライブ会場でぜひ見てください!
山田 思い描いた以上の作品ができたので、まずは買って聴いてもらって、ライブもぜひ見て欲しいですね。
—— 今回は地方も多く回られますね。
粉川 今回はできるだけ、細かく多く回りたかったんです。
山田 初めての場所も多いので、楽しみですね。
片木 それもあるので、たくさん知ってもらえるツアーになればいいなと思います。
粉川 音源とは違って、ライブはパッションな部分も多いので、そのあたりの差を楽しんでいただければ嬉しいです。
—— 最後に、京都で遊ぼうMUSIC恒例の質問をさせてください。ズバリ、「京都で遊ぶならどこがオススメ」でしょうか?
片木 そこはやっぱりジャポニカですよ!(笑)私たちもよくいます!
粉川 ワインがおいしんですよね。
片木 いい音楽も流れているし、よくライブもしているしね。
井上 僕は・・・うーん。スタジオ246京都かな。
片木 公私混ざってる(笑)
山田 僕は桂川沿いの河川敷を犬と散歩するのが好きですね。四季を感じれて。
—— 本日はありがとうございました!
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CD情報
収録曲
01:intro
02:sun
03:unnecessary pain
04:chaser
05:c-loud
06:hitorinouta
07:kotonoha
08:ふる里
09:yubiwa
10:pray
ライブ情報
jizue 2nd album「novel」release live
会場:
METRO
日時
2012.7.1(sun)
open 18:30 start 19:30
料金:
adv 2,500yen door 3,000yen