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Nabowaニューアルバム『Sen』リリースインタビュー

Nabowa、2年半ぶりのフルアルバムリリース。制作にかけた想いとは。

2012年9月12日、2年半ぶりのフルアルバムをリリースしたNabowa。前作『DUO』がボーカル入りのコンセプトアルバムだったのに対し、今回は完全インストとなっている。レコーディングには共同プロデューサーにzAk氏を迎え、今までにないNabowaの新しい魅力が充分に発揮された一枚になっている。今回はメンバーの山本啓(Vn)、ギターの景山奏(Gt)にインタビューし、制作にかけた想い、zAk氏との共同作業で得たもの、そして過去最長のツアーに対する意気込みなどについて語ってもらった。

——ニューアルバム「Sen」についてお聞きします。昨年のボーカル入りアルバム「DUO」を挟んで、2年半振りのフルアルバムですが、どのような思いで制作に取り組まれましたか。

 前回の「DUO」では、いろんな方から刺激や手法、知識を得ました。今回は、その得た知識と刺激で、すべて4人だけで作ろうというのが「DUO」ができたときからのビジョンとしてあったので、それを元に4人で作りました。

——では、ピアニカやシンセサイザーもメンバーでやられてるんですね。

 全部自分たちで演奏しています。鍵盤はドラムの優くん、シンセサイザーは啓くんが演奏しています。

——「Nabowa」のリリースインタビューの際に、達さんが「次回作以降でも新しいことをどんどんやっていきたい」とおっしゃていました。まさにそのとおりだなと。今作における新しい試みを詳しく教えていただけますか。

 毎回、同じ事はしたくなくて、いつも新しいことに挑戦したいなと思っていて。今回だったらピアノメインの曲があって、そのピアノを優くんが弾いていて。あとは、大幅にシンセサイザーを盛り込んだ曲があったりとか。

 曲作りの段階で、「いいやん」ってなったとしても、これ前にやったなっていうのは優先順位が低くなったりするんですよね。演奏面でも、そのときの自分たちの今を出しているので、新しい感じはしますよね。「Nabowa」を聴いていた人が、「Sen」を聴いたら、同じバンドとは思えないんじゃないかな。

 気持ちで弾く、みたいな。そういうのあまりやったことなかったんですけどね。音程とかじゃなくて気合を、っていう(笑)そんな曲も入っています。

 これはレコーディングエンジニアのzAkさんにも言われたんです。今回は初めて一発録りで録ったんです。これまでは、ドラム、ベース、ギターを先に録ってからバイオリンを入れていたんです。今回は全員セパレートに部屋を分けて、一気に。一発でガッと気合い入れてやると、やっぱりバイオリンの音程とか狂うんです。それをzAkさんに言ったら、「それがわかるのはバイオリニストだけだよ、バンド全体としてのグルーヴのほうが大事だから」って言われましたね(笑)

zAk氏との共同作業。「レコーディングへの考え方が変わりました」

——お話にも出てきましたが、今回はzAkさんを招いてのレコーディングされていますが、どのような経緯があったんですか。

 いままでずっと自分たちで演奏もセッティングも録音も、ミックスもやってたんです。今回、アルバムを作るにあたって、新しく外部の人に入ってもらうかメンバーで相談したんです。その中で、やっぱり新しいことをやりたかったので外部の人に頼んでみようと。それでzAkさんにダメ元で聞いてみたんです。そしたらまさかのOKをいただいて。

——実際に一緒にやってみて、これまでとの違いはありましたか。

 全然違う!(笑)

 これはzAkさん信者になった啓くんから説明してもらいましょう(笑)

 レコーディングへの考え方が大きく変わりましたね。自分たちだけでやっているレコーディングって、良し悪しの判断を自分たちで全部やらないといけない。自分でジャッジできるからこそ、何回でもやり直しができるんですね。zAkさんに入ってもらったことで、フラットな目で「いまのいいよ」とか、「いまのはダメだ」とか、言ってもらえるんですよね。これが一番大きかったですね。

 生活から変わりました。ミュージシャンって、夜中に作業しているイメージで、僕らもめっちゃ眠くても明日までに録音しないとと、夜中に録音をしてたんですよ。zAkさんはそうではなくて。「規則正しい生活リズム」が大前提にあって、おいしいご飯を食べて、時間をしっかり決めるというリズムのあるレコーディングなんですよ。今回は5日間で13曲録らないといけない。しかも11時から23時までの決められた時間で。絶対無理って思ってたんですけど、いざ始まると、その決められた時間で録ることが集中力へと繋がって、研ぎ澄まして一発一発を成功させる。いいテイクを録るためにみんなが集中するんで、やってみたらこういうことなんやってわかりましたね。

 4人で同じ方向を向いて、同じ音を出すんだよ、っていうのを教えてもらいましたね。ワンテイクに意識を集中する大事さを。

——アルバムのタイトル「Sen」には、どのような意味が込められているんですか。

 みんなで決めたんですけど、この説明も啓くんの方が上手なのでお任せします(笑)

 自分達の中にあるもの、自分たちでやりきった純度の濃いものを作りたい。だから、Nabowaだけで作るという最小単位をテーマに考えてました。最初に点やドットが浮かんで。Nabowaは4人だけど、他にも関わってくれている人もいるので、点は集合したら線になるし、これからもずっと続いていく。そういった意味をこめて「Sen」とつけました。でも、このアルバムのタイトルの意味は、聴いてくれる人が自由に想像してくれたらいいなと思っています。

——ちなみに私は、このアルバムを聴かせてもらった時に、最初から最後までひとつに繋がっていると思いまして、そこから「Sen」というタイトルなのかなと思いました。

 そういう捉え方もあるんですね!

 僕らはそういう声が欲しくて。僕らの音楽は、聴いてくれる人それぞれが自由に感じ取って欲しいです。

——続いて、曲のタイトルですが、今回は凝ったものが多いなと思いました。例えば、「No violin,No Nabowa」。

 この曲は唯一タイトルが先に決まった曲です。「DUO」の時に、バイオリンが入っていない曲があって、ベースの達くんに「この曲、No violin,No Nabowaどうすか?」って言われたんですけど、その時は決まらずで。次回アルバム作る時にそのタイトルの曲で作ってみようと作りました。

——そして「cal<lon」です。意味はもちろんですが、正式な読み方から教えていただけますか。

 これね(笑)「カルロン」と読みます。

 最初この曲のイメージは、頭が紫色のおばあちゃんが踊っている感じをイメージしていて。zAkさんと喋っていたら何かの拍子に、「「カルロン」って知ってる?カルピスのウーロン茶割り。それがおいしい…?おいしくない…?…でもなんかハマる」という話題になったんですよ。で、翌日カルピスの原液とウーロン茶を買ってきて、それを飲んだんです。

 ぜんぜんおいしくない!

 けど、なんだかハマる味で。そのエピソードが印象的で、結構ハマるってイメージを込めて、それが元でタイトルになってますね。ただ、カルロンってスペルがないんですよ。そこで、カルピスの方がウーロン茶より少ないよって意味でこのタイトルにしました。…読めないですよね(笑)

——今回の収録曲の中で、思い入れのある曲を教えてもらえますか。

 僕は「Loop of curtain fall」ですね。最初のイメージでは、いなたいソウルみたいな曲にしたかったんです。みんなであわせて音を出してみて、録音して聴いてみたら「ださーっ!」ってなるくらい、めっちゃかっこ悪くて。みんなで曲を解体して、新たに再構築してやってみたんですけど、やっぱりださいなって(笑)壊して再構築を何回か繰り返してるうちに録音当日になって。zAkさんに、「まだできていないんですよ。でも録ってみます」と伝えて録音してみたんです。ミックスでzAkさんがリアルタイムに音をいじるのを、その後ろでみんなで聴いていたんですよ。みるみる曲がかっこよくなっていって!「そんなんできるんですか!」って。びっくりしてたら、zAkさんが「こんなんやろ?」ってニヤッとして(笑)。「それです!」みたいな。その感動もあるので、この曲は思い入れがありますね。

 僕は「pulse」かなあ。この曲は、完成にいたるまで何回も何回もライブでやったんですよ。これでいけるやろうってところまで持って行ってライブでやるんですけど、ライブの感触やお客さんの反応で改善点がどんどん見つかっていって。ライブでやるごとに成長していった。だから、未完成だった頃の「pulse」は全然違う曲で。ライブでやって、練って練って練って…ようやくできたこれ!というのがありますね。

——ライブで先にやって、それを作品に落とし込みことはあまりないんですか?

 何曲かはあると思いますけど、今までだったら曲ができた時点で録音してたんですね。今回は、今年の初めに福井のログハウスで合宿してから6月の録音まで期間がちょうど空いていて。それもあって、「pulse」はライブで練っていくことができたのもありますね。

——前回のインタビューでは、曲順に悩まれていましたが、今回はいかがでしたか。

 毎回なんですよね。今回も相当悩みましたね。

 基本のフォーマットを決めておいて、最後の最後で。

 メンバーだけでは決まりきらへんとこがあって、今回はうちのマネージャー(※元DJ)のDJセンスを活かして、一緒に曲順を選ぶのに参加してもらいました。それで決めたりしました。僕らだけやと好みが偏って、主観的になりすぎるので客観的にも見れるように、zAkさんやマネージャーの意見をもらいましたね。

 毎回ここで揉めるんだよね(笑)曲名決めるのもだよね?

 曲名も相当時間がかかっていて、スタジオ練習のお昼休みに公園に行って、赤ちゃんやお母さんのいるような昼間の公園で、男4人が「この曲はその名前ちゃうやろ」みたいなのをずっとやってたので、すごい怪しい絵やったと思いますね。

——最終的にはみなさん納得の曲順に?

 全員がいいやんって納得がいく瞬間があるんですよね。そうなったらOK。誰かが難色を示している場合は、何かよくないなという。似たもの同士が集まったバンドじゃないから意見は分かれるのもいいなと思います。似たもの同士だと同じ方向にばかり行ってしまいそうじゃないですか。

——「カルテット」までいい感じに聞かされて最後の「chopstick chop」で終わるのがおもしろいですね。

 思いっきりストレートで終わるより、もうひとつなんかひっかかりがあっていいかなみたいな。これもすごい迷ったんですよ。最後の曲を「カルテット」と反対にするか。反対にしたらけっこうきれいかなあとか。

 最後に打ち上げっぽい曲で。

奏・啓 ちゃんちゃん♪みたいな(笑)

 シリアスモードで終われないんですよね。

——サウンド面では、やはりzAkさんの影響が大きかったですか。

 音の質感は、zAkさんにお任せしていて、マイクの位置もちょっとずつ変えてもらったりして。録り終わって聴いてみたらもうバッチリのサウンドになってるんです。

 この曲はこんな感じがいいんじゃないかなとか、あらかじめ考えてくれていて、僕らよりその曲のことを客観的にわかっていて。びっくりしたのは、グランドピアノの足のローラーの向きまで変えて、細かな調整をしたときですね。そしたらなるほどこれはいい音や!ってなるんですよね。

変わる、Nabowa。過去最長のツアーについて。

——今回のレコーディングを経て変わったことはありますか。

 意識的にだいぶ変わりましたね。録音は作業じゃなくて、ライブに近いものだと。

 zAkさんには、「練習するのはいいけど、練習通りにやろうとするな」と言われました。たくさんリハをやってきて、それを一回全部忘れるくらいの気持ちで来てくれと。

 ライブもそれに近いよね。

 誰かのミスを楽しめるようになりましたね。

 どうすんねんどうすんねんとリカバーしていった先が、逆におもしろくなってた、みたいな。

 「cal<lon」もレコーディング中にあったミスから発展したとことがあって。

 そういうのがちょいちょいみんなにあって。これっておもしろいもんなんやって思うようになったので、ライブにもそれが活かされていると思います。前は、「あ~ミスった!ミスった。しょぼーん」が多かったんですが、そうじゃなくて、ミスをどう次に繋げるか。

 間違えたら過去に戻ろうとすることがあるんですね。間違えたところからやり直しって。でもそれが全てではないと思って、その過去があったから今があるんじゃないのかなと思って。だから、間違った時には新しい何かを作りだすという選択肢があることを今回のレコーディングで学びました。

——リリース後のツアーも控えていますね。

 過去最長になると思います。行ったことのない東北地方にも行けるので楽しみにしています。

 全部楽しみだけど、東北は行ったことのない地域だから特に楽しみだよね。

 あとは、地元京都だよね。

 実は京都のライブはめっちゃ久しぶりで。ずっと外ばかりでいい加減京都でやれよって言われるくらい(笑)

 今までよりもさらにライブに対する気合いが違うので、どの会場でも力強さのあるライブをお見せします。

 ライブに来て、ライブ会場でしか得られない感動を味わって欲しいですね。

—— 本日はありがとうございました!

インタビューご協力店

■JAPONICA
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Phone: 075-211-8580
http://www.japonica-cafe.com
http://www.japonica-music.com

CD情報

収録曲
1. きょうの空
2. 続く轍と懐かしき扉
3. Magical Journey
4. So Fat ?
5. pulse
6. No violin,No Nabowa
7. SUN
8. a.k.a.
9. cal
10. Loop of curtain fall
11. tick tick away
12. カルテット
13. chopstick chop

ライブ情報

Nabowa New Album 「Sen」 Release Tour
10.20(土) 京都 磔磔 『Nabowa Live』
10.21(日) 岡山 cafe, the market maimai
10.28(日) 名古屋 得三 『Nabowa Live』
11.03(土) 石川 金沢21世紀美術館
11.04(日) 大阪 『KAIKOO』
11.09(金) 広島 4.14
11.11(日) 長崎 オハナカフェ
11.13(火) 湯布院 cafe la ruche
11.15(木) 宮崎 LIBERTY
11.16(金) 鹿児島 Club CAVE
11.17(土) 熊本 ONE DROP
11.18(日) 福岡 ROOMS
11.23(金/祝) 松本 MOLE HALL
11.25(日) 大阪 梅田シャングリラ 『Nabowa Live』
11.30(金) 山形 SANDINISTA
12.01(土) 登米 CAFE GATI
12.02(日) 黒磯 SHOZO音楽室
12.07(金) 奈良 polkadot
12.08(土) 豊橋 grand space Quark
12.09(日) 静岡 BLUE NOTE 1988
12.14(金) 滋賀 U-Stone
12.16(日) 東京 LIQUIDROOM 『Nabowa Live』 Tour Final

and more…

ツアー情報の詳細は公式サイトのスケジュールをチェック!!!

最新CD情報

収録曲
1. きょうの空
2. 続く轍と懐かしき扉
3. Magical Journey
4. So Fat ?
5. pulse
6. No violin,No Nabowa
7. SUN
8. a.k.a.
9. cal
10. Loop of curtain fall
11. tick tick away
12. カルテット
13. chopstick chop

ライブ予定

Nabowa New Album 「Sen」 Release Tour
10.20(土) 京都 磔磔 『Nabowa Live』
10.21(日) 岡山 cafe, the market maimai
10.28(日) 名古屋 得三 『Nabowa Live』
11.03(土) 石川 金沢21世紀美術館
11.04(日) 大阪 『KAIKOO』
11.09(金) 広島 4.14
11.11(日) 長崎 オハナカフェ
11.13(火) 湯布院 cafe la ruche
11.15(木) 宮崎 LIBERTY
11.16(金) 鹿児島 Club CAVE
11.17(土) 熊本 ONE DROP
11.18(日) 福岡 ROOMS
11.23(金/祝) 松本 MOLE HALL
11.25(日) 大阪 梅田シャングリラ 『Nabowa Live』
11.30(金) 山形 SANDINISTA
12.01(土) 登米 CAFE GATI
12.02(日) 黒磯 SHOZO音楽室
12.07(金) 奈良 polkadot
12.08(土) 豊橋 grand space Quark
12.09(日) 静岡 BLUE NOTE 1988
12.14(金) 滋賀 U-Stone
12.16(日) 東京 LIQUIDROOM 『Nabowa Live』 Tour Final

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プロフィール

Nabowa(ナボワ)

京都を拠点に活動している4人組インストゥルメンタル・バンド、Nabowa(ナボワ)。現在までに3枚のアルバム、数枚のミニアルバム、シングル、アナログ盤をリリース。
2010年5月発売のセカンド・アルバム『Nabowa』では、ツアーで鍛えられた演奏とノスタルジアをおぼえるNabowaオリジナルの世界観が見事に交差し、各方面より大きな反響を得た。
リリース後には「FUJI ROCK FESTIVAL '10」をはじめ大型フェスに多数出演、ライブバンドとしても高い評価を得ている。
2011年4月にはシングル『SUN』を発表、夏には2年連続となる「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に出演、2011年9月には、数人のシンガーを迎えた非インストゥルメンタル・アルバム『DUO』を、2012年3月14日には初のDVD『ナボワのライブ』を発表。
そして、2012年9月12日、2年振りとなる待望のサード・フルアルバム『Sen』を発表し、「朝霧JAM2012」にも出演。

メンバー:
山本啓(ヴァイオリン)、川上優(ドラム/パーカッション)、堀川達(ベース)、景山奏(ギター)

> 公式サイト