TV出演をきっかけにブレイクし、現在各種メディアに引っ張り蛸な「THE冠」。しかしながら、THE冠とはどんな人生を送り、どんな音楽を作っているのか知っている人はまだ少ないのではなかろうか。
このインタビューでは、THE冠の本業であるミュージシャンとしての顔、ヘビーメタルという音楽にかける思いを掘り下げ、そして生まれ故郷である京都について語ってもらった。京都で遊ぼうMUSICでしか読めない、独占インタビュー。
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「楽しんでもらってナンボですから僕ら。」
スタッフ一号 本日は宜しくお願いします。いきなりですが、最近TVでの露出がすごいですね。
THE冠 本当、自分でもビックリしてますよ。でも実際会ったら大したことないでしょ(笑)。
スタッフ一号 いやいや、実際ものすごい迫力ですよ。その兜は鉄製でしょうか?
THE冠 これはね、鉄工所の友達に作ってもらったんですよ。3ヶ月かけて。3ヶ月掛けたんですけど、昼休みの空いた時間にやってもらってたんで。キュッと集中してやったら3日ぐらいでできたんちゃうかな(笑)。あとこの鎧は自分で刺とかを取り付けましたね。
スタッフ一号 鎧兜全体を含めて、ステージのコスチュームが独特なわけですが、何かこだわりがあるのですか?
THE冠 もともと、プロレスが好きで、プロレスの登場みたいなのに憧れてて。昔、プロレスはヘビメタ流して登場っていうのが多かったんですよ。僕の大好きなスタン・ハンセンっていう人がいまして、鎧はまあ違いますけど、このズボン、ベスト、で昔はテンガロンハット被ってて、「ウィー!」っていうこの(人差し指と小指を立てて)メロイックサインをスタン・ハンセンとかけて、ライブの登場をやってたんですよ。それこそ20年前、SoWhat?時代からですね。
で、この鎧はロードウォリアーズからきてて。それからだんだんエスカレートしていって、この兜は「ラオウになりたい」と。んでそれ全部合わしたらオリジナルになるやろうと。そういう考えでやっておりました。
いっぱいいろんな要素つけ過ぎて、重たいんです、全体的に(笑)。
スタッフ一号 それ何キロぐらいあるんでしょうね?
THE冠 何キロですかねえ。10キロは絶対ありますよ!僕だから移動中キャスター付きのカバンに入れてきてるんですけど、むっちゃ重くて自分でも驚きますよ。
スタッフ一号 衣装専用なんですね、あれ。
THE冠 衣装専用です。でもまあやっぱり、楽しんでもらいたいんですよね。今の子って普通のカッコでライブして「それが自然体なのさ、自然体ロックなのさ」って感じでしょ。俺そんなもん見たないねん!と。僕はKISSとか、人が真似できないエンターテイメントを見たいと思うので、自分がステージに上がる立場になったらやっぱそうしたいなと思ってましたね。
スタッフ一号 衣装やスタイルからも自分の持つ世界観や思想を表現したいと。
THE冠 そうです。ライブ見に来てる人は、普段・日常ではない世界を見たいはずなんで、それを見せたいですね。
スタッフ一号 なるほど。インタビューにあたって、前進のSoWhat?やTHE冠になってからの音源やPVをいろいろ見させて頂きました。
THE冠 見ましたか(笑)。
スタッフ一号 はい、すごく面白かったです(笑)。
THE冠 ありがとうございます!(笑)やっぱそうなんですよ、楽しんでもらってナンボですから僕ら。見終わってクスっとしてもらえるようなものを作ろうと思ってやってます。人間での悲哀であったり、怒りであったりを、笑いに転換させてお届けしたいと思ってるんですよ。
スタッフ一号 急だったもので(注:インタビューが決定したのが前日でした)、見たのがYouTubeとかだったんですけども・・・
THE冠 あ!何見ました!?
スタッフ一号 「中3インマイドリームス」です。
THE冠 一番新しいアルバムのPVですね。全編10分、頭5分コントになってます。レイザーラモンRGとのコントです。僕が今39歳なんですけど、ちょうど80年代って中学生ぐらいで、ハードロック・ヘビーメタルブームがあったんですよ。そん時の気持ちを曲にしたんです。LA憧れみたいなのがあって、行ったこともないのに、想像だけで「すごいとこなんやろなあ」みたいな夢持ってた時代の曲なので、ああやって学ラン着てね。僕らの同世代は見て楽しいと思うし、今の若い子でも笑えると思うんですけどね。
スタッフ一号 確かに、途中でお母さん出てくるところとか。
THE冠 あれも関西のね「あるある」ですよ。まあRGがいるってことで「あるある」なんですけども。ほんま関西のおばはんてああですからね。あれ打ち合わせなしで、1時間ぐらい長回しで撮ってて、5分にするのが大変だったんです。
まあ曲始まってからはしっかりしたものをお見せしているとは思うんですけども。
スタッフ一号 そうなんですよね。サウンドはすごくカッチリした、本気のヘビーメタルですよね。そのマッチョな音楽の中にも、笑いだとか、楽しませようという気持ちが感じられたんですが、その気持ちはどこから来るんですか?
THE冠 突き詰めていったらやっぱりちっちゃい頃からの性格ですかねぇ?MCやらんと曲だけやってる人も素晴らしいなと思うんですけど、僕はそれはキツいなと思うんです。僕の性格上「みんなを楽しませたい」というのがあるんで、それで笑いを足してるんです。
やっぱね、でも最初バンドやり始めた時って、洋楽への憧れで英語の歌詞でやってたんです。MCもカッコつけた感じで、「今日はありがとう…」みたいな。「興味のない奴は出て行ってもいいんだぜ!」みたいな。したらほんまに帰っていきよった奴がいてね、「アカンアカンアカン!」ってなって。んで、「楽しんでもらおう」と。笑いを入れるといっても、僕ギャグを言ってるわけではないですよ、僕、決して。歌詞も、見てたぶんクスってしてもらえるとは思うんですけど、「笑かそう」というよりも、その・・・人間の様って、自然と面白いんですよ。悲しい様とか、失敗したとき、切ないとき、たとえば女にフラれたとき、自分はものすんごい辛いけど他人が見たら爆笑っていうことあるわけで、そういう様を書くのが好きでね。そんな悩みなんてちっぽけなもんで、悲しいことなんか笑いに変えていこうぜ、っていうことですから。僕の歌詞って、何個かただ単にフザけてるのもあるんですけど、結構元気になれると思うんです!(笑)夢とか希望持とうぜとか、そんなんもう40前のオッサン歌わないですよ。それはもう若いバンドに任せますよ。僕が40前でまだヘビメタという音楽をギャーギャー叫び続ける様を見て「あんなオッサンでも頑張ってんねんな、俺も頑張ろ」っていう、そういうパワーになればなって思ってますけどね。