2013年6月29日に京都SOLE CAFEで行われたチリヌルヲワカの『あんぷらぐど in 京都 @SOLE CAFE』アコースティックライブのライブレポートです。
今年の4月に通算4枚目のアルバム「アナログ」をリリースしたチリヌルヲワカ。リリースとともに全国ツアーをまわりはじめた彼らが、今年も京都の「sole cafe」にやってきてくれました!
6月29日、夏に差し掛かった京都。昨年のライブからちょうど約1年後に、同じ場所で、同じくアコースティックライブ。1年前の素晴らしい夜を思い出しながら、うきうきしたスタッフが今回もライブにお邪魔してまいりました!
会場は昨年と同じ「sole cafe」。市街地から少し離れた、京都市の北の方にある小さなカフェです。いつもは普通に営業しているカフェなので、ライブハウスのような眩しい照明もステージもありません。フラットな空間に、いつもの大きなアンプやバスドラムは無く、パーカッションを中心としたシンプルな楽器たちのみ。その楽器たちから1m程度しか離れない、本当に目と鼻の先の距離に、お客さんのイスが並びます。
2回目ながら、こんなにメンバーと近い距離で貴重なアコースティックライブを堪能できる、なんて贅沢なライブだろうと思いました。そんな中、本当に「目の前」に登場したメンバー。ラフで気取らない服装と雰囲気を見て思わず昨年を思い出し、スタッフのテンションも急上昇。期待が膨らみます。
お客さんの盛大な拍手を少しずつ鎮めていくように、阿部さんの持つ鈴の音が鳴り響き、オープニングの曲がはじまりました。この日の最初に選ばれたのは、最新アルバム「アナログ」の中から、「虎と馬」。もともとゆったりとした響きある曲が、エレアコの音が印象的なアコースティック版としてアレンジされ、会場にゆっくりと染み込んでいきました。
続いて前回のアルバム「あ可よろし」から、「甲と乙」も披露。イントロではギターのメロディーが冴え、間奏では跳ねるようなベースソロが効き、ラストに向けてどんどん激しくなっていく演奏は、アコースティックということを忘れるほど。ドラムも、いつもの大きなドラムセットが無いぶん、タンバリンやシンバルなどが使われ、色彩豊かに曲をまとめあげます。
チリヌルヲワカの曲は、メンバー自身が「普通じゃなくしないと、私たちがやる意味がない。」と語るように、複雑に音程を動きまわるメロディーとくるくる変わっていく曲調が印象的。でもちゃんと、心落ち着かなくなる不安定さの一歩手前で、計算されたように一気に音がまとまる瞬間がきます。ライブでのその快感は本当になんとも言えない心地よさ。
数曲終わったところでメンバー紹介が入ります。MCは、曲と打って変わってほのぼのとしたメンバーのトークが本当に楽しくて笑いが絶えません。Dr.の阿部さんと服装がかぶっていることを本気で悔やむユウさんや、阿部さんが連続ドラマ「あまちゃん」にハマっているエピソードなど…。合間にはあまちゃんの主人公がびっくりした時のセリフ「じぇじぇ!」も飛び出し、会場全員で爆笑。
ライブも中盤になってくると明るかった外もしっとりとした暗さになって、会場も夏の夜らしくなってきました。
落ち着いた雰囲気と相まって、何よりもアコースティックの魅力を感じたのは、2ndアルバム「白穴」から演奏された「姫事」。もともとスタッフの大好きな曲でしたが、明るく可愛らしい曲調の中に含まれた切なさが、アコースティックになるとさらに際立って、思わず目を閉じて聴き入ってしまいました。
後半のMCでは、ユウさんの不思議トークがさく裂。移動の車の中で突然、「無人島にひとつだけ持って行けるとしたら何を持って行くか」の話をメンバーに振り、「私は鏡を持って行く」と話したというユウさん。その理由を聞くと、「自分の顔が今どうなっているかが見えないのは怖いじゃないですか」とのこと。「でも食べ物とかはどうするの?」と聞かれると、「食べ物は1日3食バイキングが出るの」『…え、無人島じゃないの?』「無人島だけどバイキングは出るの」『え、誰が作るの?』「それは謎なの。」『え、謎…?』
そんなユウさんのマイペースぶりを、動揺しながらも優しく受け止めるメンバーの様子に、お客さんも笑いながらほっこりしていました。
後半はラストに向けて「ヒトダカラ」や「ホワイトホール」などの人気曲を一気に演奏。盛り上がりも最高潮に達したところで、最後には最新アルバムから、「永久-とこしえ-」が披露されました。夜空を連想させるような坂本さんの澄み切ったギターの音で会場が包まれて、まるで世界から隔離された空間にいるような心地でした。
「人生はいわゆる過ちの連続なのさ 嘘をつかない生きものならば繰り返す痛みはない」
そんな痛烈なメッセージも、この曲では優しく語りかけるように感じられて、これからも繰り返されていく人生の中で、ときに出会う「今」みたいな素晴らしい時間に救われていくんだろうなと、そんな風に感じる時間でした。
「永久-とこしえ-」が終わってメンバーが退場した後も拍手は鳴りやまず、アンコールに応えてくれた彼らが最後の最後にお客さんに送ったのは「イロメキ」。くるくる変わる曲調と勢いのあるバンドサウンド、合間に挟まれるポップなメロディー。最後の最後に、本当にチリヌルヲワカらしい遊び心が詰まった曲で、ライブが終わってしまう寂しさもかき消してくれるほどの爽快感でした。
今回の最新アルバム『アナログ』は、色んな文明を排除していった後に残る、「人と人とのつながり」を歌った曲が多く収録されていることから名付けられたタイトル。斬新な編曲やアレンジが盛り込まれた曲たちも、歌詞はあたたかく「人」を見つめたものが多く、聴いていると心に深く入り込んできます。今回ライブで披露された曲もされなかった曲も、名曲が詰まった1枚となっていますので、せひチェックしてみてください。
尚、こちらのアルバムは、ライブ会場とチリヌルヲワカの公式通販サイト、Amazon及びHMVでしか手に入れることができない貴重品!
チリヌルヲワカの皆さん、ありがとうございました!
お客さんの顔も緩む、暖かい空間
〒603-8244 京都市北区紫野東蓮台野町10-16
【TEL】075-493-7011
【cafe】11:00~15:00 (日祝定休日)
【LIve】平日、週末休日問わず、不定期的
http://www.solecafe.jp
2005年当時"GO!GO!7188"に在籍中のユウ(中島優美)を中心に結成。CDリリースとライブ活動を展開、その後活動休止とメンバーチェンジを経て2010年に新生チリヌルヲワカ再始動。
メンバーはギター&ヴォーカルのユウ、ザ・コレクターズのメンバーでもあり名実ともに知られるドラマー・阿部耕作、トリッキーなプレイで多数のアーティストとのセッションでも名を馳せるベーシスト・イワイエイキチ、2010年メンバーチェンジ後に新加入した気鋭のギタリスト・坂本夏樹の4人。