【みやこ1日目ライブレポート】2011年から2012年のみやこ音楽祭に期待しておく記事。
1号です。みやこ音楽祭に行ってきたのでレポートしますよ。
1日目後半。この日のブッキングはほんと特定の年代の人に対して特別なブッキングだったんじゃないでしょうか。いわゆる「97年組」と呼ばれ、その後のロックシーンを牽引した3バンド、すなわち、くるり・スーパーカー・ナンバーガールのメンバー・元メンバーが会するという・・・。今僕は27歳ですが、ドンピシャに聴いていたのは高校生の頃で、彼らは控えめに言っても神様みたいな存在でした。こんな素晴らしい時代がずっと続くと本気で思った奇跡みたいな時間があったのを思い出します。
でも結局神様たちには神様たちの事情があって、解散したりメンバーを変えたり新しいバンドをはじめたりするわけで、それはリスナーの僕らも一緒で、興味をなくしたり、再燃したりを繰り返して幾星霜。そんなこんなでこの日はここ10年ぐらいの総決算みたいな気分でKBSホールに行きました。
KIMONOS
在日ファンクのコールアンドレスポンスを遠い祭り囃子のように聴きながらKBSに到着。ボロと違って外で休んでる人が少なくて、ホール内は超満員という風情。みんな前のめり。その意気や良し!
在日ファンクのセットが片されて、KIMONOSの設営に。赤いテレキャスとキーボードとサンプラーが対面で配置されただけの編成。向井とLEO今井がゆるゆる現れて、マイクチェック。
チェックが終わると、一度引っ込むこともなく「やりましょうか」と向井さんが一言。すぐさま「mogura」。硬くブレのない向井さんのギターの音と、舶来の血を根底に感じさせるLEO今井の声、それらが合わさったトラックのグルーヴを、会場の人はみんな息を飲んで動きを見守ってる感じでした。
セットリストはmogura→Miss→Soundtrack To Murder→Almost Human→Yureru→Tokyo Lightsと全て昨年発売したアルバム『Kimonos』から。主観的じゃなくどちらかと言うと情景音楽的な面が強いアルバムで、全曲解説を読んでも自分らで書いた曲なのにどこか他人行儀というか、個人と切り離しているようなところがあります。この日はMCが一切無かったのもあって、ひたすら音楽の再現芸術としての側面をストイックに追求しているかのような二人の姿がとても印象的でした。「凍る炎」というか「燃える氷」というか、そんな感じ。
なお、このステージの向井秀徳によるアサヒスーパードライの消費本数は350ml缶2本。終了後は持ち込みのクーラーボックスから更に2本を携えてはけておられました。
LAMA
バンドセットの台車がステージにガラガラと滑り出してきてLAMAの転換開始。このとき僕は最前列にいたのですが、ひょこっと、ほんと「いつの間に」って感じでひさ子さんが登壇。97年組の中でも、一番憧れた人が目の前に!周りの人も皆ひさ子さんに釘付け。「かわいい」「奇跡やで・・・」という声がちらほら聴こえてきました。下記、ライブのメモなんですが
・塗装が豪快に剥げたジャズマスターを構えるひさ子さん
・ギターストラップをかなり伸ばしてるのにそれでも結構余ってるひさ子さん
・なかなかピックアップセレクターを入れないひさ子さん
・ナカコーのギターに合わせて弾くひさ子さん
・リハで他のメンバーがはけたのに気づかず練習していてふと顔を上げると「あれっみんないない」という表情になり照れ笑いしつつひょこひょこっとはけるひさ子さん
・ステージ中にカポを忘れてローディさんに「カポください」と口パクしつつフレットを指で挟む仕草をするひさ子さん
・超シューゲイザーなひさ子さん
など、お前は何しに行ったんだと言われかねないようなメモがiPhoneに残されていました。どんだけ好きやねん。
くるり
そして、大トリ、くるり。5人体制のくるりになってまだ半年も経っていないのですが、バンドサウンドはずいぶん熟れてグルーヴが感じられる仕上がり。音も厚みがあって、これはやっぱりファンファンさんのロングトーンによるところが大きいのかなと思います。同時にキレキレのアツいパッセージもあったりして、ええ感じに盛り上げてくれる。省念さんもいい仕事しはります。ギター・チェロはもちろんしっかりこなしているのですが、ボーカルもいい!岸田さんも「もともと人が歌ってるのを聴きながら楽器を弾くのが好きで、ずっとこれ(ボーカルに対するバッキング)がやりたかった」と語っていることからも、新メンバーの加入がくるりに与えたものは大きいようです。
そして、演奏もよかったのですが、この日のセトリははっきり言って神でした。本編がLV30→LV45→マーチ→コンバットダンス→窓→男の子と女の子→のぞみ1号(新曲)→石巻復興節(新曲)→サンキューマイガール(歌:吉田省念)→さよならアメリカ→ブレーメン→ワンダーフォーゲル→東京。アンコールが奇跡。
くるりの歴史をまんべんなく振り返るようなセットリストでした。特に『図鑑』の曲なんかは歌っているお客さんが多くて思春期を拗らせた20台後半の男女が古くからのファンがたくさん来ているんだなーと思いました。当然、懐古主義に浸るでもなく、石巻を訪れた際に現地の書いた詞を曲にしたという「石巻復興節」や吉田省念ボーカルによる「サンキューマイガール」等で、「今のくるり」「これからのくるり」をばっちり表現しています。
MCでは岸田さんが主催者としてみやこ音楽祭について触れる場面も。「8年間やってきてノウハウもできてきてルーティンになってきたのでやめます」「新しくて楽しいことしていかなあかん」「また来年、楽しいことやります」と、予定調和を否定し、新しいこと・楽しいことをやろうという前向きな姿勢が印象的でした。
まとめ
みやこ音楽祭は終了しましたが、岸田さんが「来年も」と言ったからには2012年もきっと何かあるんだと今から期待しています。来年、どんな形になるにせよ、生まれてくる新しい「みやこの子」を京遊MUSICは全力で応援します!