Exhibitions展覧会
【KYOTOGRAPHIE2023】セザール・デズフリ「Passengers 越境者」With the support of Cheerio Corporation Co. LTD.
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023のメインプログラム。移民、アイデンティティ、人権問題に関連するテーマの作品を多く発表しているジャーナリスト、ドキュメンタリー写真家のセザール・デスフリによる個展です。
毎年、何千人もの人々が、アフリカ沿岸からヨーロッパを目指して命がけで地中海を渡っています。2016年の夏、デズフリは、ドイツのNGO団体「ユーゲント・レッテト」が所有する元漁船の難民救助船イウヴェンタ号に3週間にわたって乗船し、リビアからイタリアへ渡航する地中海中央部のルートで、難民たちを助け出す救助船の様子を記録しました。
8月1日、リビア沖20海里を漂流するゴムボートから118名の難民が救出されました。デズフリは、この救出劇に名前と顔をつけて一人ひとりに人格を与えるため、救出されたばかりの乗客全員のポートレートを撮影します。その後彼らはシチリア島のポッツァーロ港で下船します。
難民の現実を記録し、統計からは決して明らかにならないアイデンティティを証明したいという思いから、デズフリは次のステップに進みました。難民たちを主人公とした物語が語られる必要がある、と考えたデズフリは、救助された難民たちを探し出し、彼らの物語を紐解く作業に取りかかったのです。なぜ祖国を離れようと思ったのか。旅の途中で何があったのか。イタリア到着後、彼らはどのような人生を送っているのか。
政治的な理由や経済的な理由、感情的な理由、伝染病、家族の問題、移民の群れに紛れ込んでの逃避行、あるいは旅をして新たな経験をしたいというシンプルで人間的な願望──難民たちの動機は様々なものでした。慎重な検討を重ねた末の決断もあれば、突発的な思いつきというケースもあります。西アフリカ各国からリビアへと、難民たちの足跡を辿る中で、人権侵害の実情も明らかになりました。
難民たちの証言は、移住先のヨーロッパで彼らが直面する現実をあらわにします。当局の動きは鈍く、数年間も待たされ、社会への適応を妨げられることもあります。政府からの無回答や難民申請の却下により難民は国から国へヨーロッパ中をさまよい続けることも余儀なくされます。
難民たちがどの国を目指すかは、話せる言語や知人のネットワーク、就職に関する口コミなどによる場合もあれば、偶然のなりゆきで決まる場合もあります。イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、オランダなどが一時的な滞在国となることが多く、正式な処遇が決定するまでイタリア国内の収容施設に滞在し続ける難民も数多くいます。
本展「Passengers」は難民たちの物語の記録であり、難民への理解を深め、その苦境が忘れられることのないよう事実を後世に伝える、一大ドキュメンタリーなのです。
セザール・デスフリ
1991年、スペイン・マドリッド生まれ。ジャーナリスト、ドキュメンタリー写真家。移民、アイデンティティ、人権問題に関連するテーマの作品を多く発表している。2015年以降はヨーロッパ国境における移動のムーブメントに注目し、特に中央地中海の移民ルートに焦点を当てている。デ・フォルクスクラントやル・モンドに頻繁に寄稿しているほか、ガーディアン、タイム、BBCなど、さまざまなメディアで作品が紹介されている。近年では、世界報道写真コンテスト2023のヨーロッパ地域賞のほか、Sony World Photography Awards(ソニーワールドフォトグラフィーアワード)やTaylor Wessing Portrait Prizeなどの写真賞を受賞している。世界各地で開催される個展やグループ展に参加し、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(英国)、シドニー博物館(オーストラリア)、UICA(アメリカ)などでも作品が展示されている。
展覧会概要
期間 | 2023/04/15(土) 〜 2023/05/14(日) |
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会場・開催場所 |
Sfera
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時間 | 12:00~19:00(入館は18:30まで) |
休館日 | 4/19(水)、4/26(水)、5/10(水) |
料金 | 《単館チケット》 大人:800円 学生:600円(要学生証提示) ※中学生以下・障害者手帳をご提示のご本人様と同伴者1名は無料 ※パスポートでの入場は会期中1回のみ有効(エクスプレス・パス利用者を除く) |
注意事項等 |
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info@kyotographie.jp | |
ホームページ | https://www.kyotographie.jp/programs/2023/cesar-dezfuli/ |
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