Exhibitions展覧会
【KYOTOGRAPHIE2023】ロジャー・エーベルハルト「Escapism」
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023 のメインプログラム。スイス出身の写真家、ロジャー・エーベルハルトの個展です。
本展では、最新作シリーズ「Escapism(エスカピズム)」を展示します。「エスカピズム」とは、現実を直視しないことや現実世界や社会生活に幻滅して逃げ出そうとする態度、すなわち「現実逃避」のことです。
コロナ禍の外出制限の間にこの「現実逃避」をテーマとした作品に取り組み始めたエーベルハルトは、作品の中核に、“コーヒーフレッシュの蓋を剥がしてコレクションする”というスイス独特の習慣をおきました。
スイスの飲食店でコーヒーに添えられるコーヒーフレッシュ容器の蓋にはさまざまな写真が印刷されており、何十年もかけて収集する人もいる一種のコレクターアイテムとなっています。
エーベルハルトは蓋に印刷された多彩な写真のなかで、特に風景写真に注目します。そこには世界の有名な、よく聞く観光名所がしばしば使われています。エーベルハルトはそんな小さな蓋に印刷された風景写真を、高解像度のカメラで超クローズアップして再撮影するという手法をとりました。これを最終的に過剰なまでに大きく引き伸ばしてプリントし、元々の容器の蓋の写真に新たな解釈を加えた作品が完成しました。
引き延ばされたプリントでは、CMYK印刷の網点のパターンが鑑賞者の立ち位置によって現れたり消えたりします。インクのドット(網点)ひとつひとつが生み出すグリッドは、イメージの工業性を際立たせます。アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンシュタインの作品とも相通ずる要素です。ドットのパターンはまた、鑑賞者を夢想的な逃避から現実の世界へと容赦なく引き戻す力も持っているのです。
ロジャー・エーベルハルト
1984年生まれ。ブルックス写真大学(カリフォルニア州サンタバーバラ)にてBFAを、チューリヒ芸術大学にてMFAを取得。現在、チューリヒを拠点に活動。世界中を巡り、領土やグローバリゼーションなど、現代社会において緊迫した問題に関連するテーマとして制作活動をしている。
2011年にチューリヒで出版社「b.frank books」を設立し、現在もアーティストのための出版プロジェクトを継続している。〈Human Territoriality〉(人間の縄張り意識)シリーズは2020年のSwiss Design Awardsにノミネートされ、その一部を収録した作品集(Edition Patrick Frey社刊)は2020年の「The Most Beautiful Swiss Books」に選出されている。C/O Berlinやビクトリア国立美術館(メルボルン)をはじめ、世界各国で作品を展示。Robert Morat Galerie(ベルリン)にて作品が取り扱われており、Galerie Mai 36(チューリヒ)でも展示を行っている。
展覧会概要
期間 | 2023/04/15(土) 〜 2023/05/14(日) |
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会場・開催場所 | 嶋臺(しまだい)ギャラリー |
時間 | 10:00~18:00(入館は17:30まで) |
休館日 | 4/20(木)、4/27(木)、5/11(木) |
料金 | 【単館チケット】 大人:800円 学生:600円(要学生証提示) ※中学生以下・障害者手帳をご提示のご本人様と同伴者1名は無料 ※パスポートでの入場は会期中1回のみ有効(エクスプレス・パス利用者を除く) |
注意事項等 |
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info@kyotographie.jp | |
ホームページ | https://www.kyotographie.jp/programs/2023/roger-eberhard/ |
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