Exhibitions展覧会
【KYOTOGRAPHIE2023】山内悠「自然 JINEN」With the support of FUJIFILM
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023 のメインプログラム。自然の中に長期滞在し、自然と人間の関係性から世界の根源的なありようを探求している写真家・山内悠の個展。本展では、鹿児島県・屋久島に約9年間通い続け制作した新作「自然 JINEN」を展示します。
これまでに富士山の高地にある山小屋や、広大なモンゴルに長期滞在し、厳しい環境に身を置いて撮影を行ってきた山内。
本展で展示する新作「自然 JINEN」においては、屋久島を訪れるたびに、単身鬱蒼とした森の中に入って1か月近くを過ごすということを繰り返しました。
大自然の中で自分の中にある不安や恐怖心に気づき、自然との距離を感じたことからこの旅は始まります。猿やほかの動物は何事もなく活動しているのに、なぜ人間である自分は恐れを抱くのか、この感覚は何なのか。昼夜問わず森の中を歩き続け、自身の内なる恐怖心や感情と向き合う中、山内は様々な巨木に出会い、その存在によって外界へと意識が引き戻されました。その巨木を撮影することで「樹と自分自身がつながり、自然と自分との境界線が曖昧になった」と山内は語ります。
自分自身も何も恐れる事のない自然の一部であること、境界を引いていたのは実は自分だったのだと気付き、いかに自分の意識が作り出した幻想(表象)の中に居たかを実感するようになったという山内。
そして、このような内(自身)と 外(外界)の行き来を何度も繰り返した森での最後のとき、闇夜にヘッドライトで照らされて現れた恐怖を煽る森の樹々が、夜明けには光に照らされた神々しい存在へと変化するさまを目の当たりにしたのです。そのとき、ずっと抱えていた恐怖心は消えていました。目の前に在る現実とは何なのか、山内はその疑問をずっとカメラを通して問いかけてきましたが、それは自らの内にある世界の投影であることを写真が見せてくれたと語ります。
「自然(しぜん)」という言葉は、明治期以降「Nature」の訳語として人間の対義として用いられるようになりましたが、日本には古来より「自然(じねん)」という考えがあり、「おのずからしかる」と読むように、人間をも含む全ての現象は、ありのまま、あるがままの状態である事を意味しています。こうして生まれた本作「自然|JINEN」は、山内が体感した心の状態と森との関係性が異次元なイメージとして写真に投影されています。その自ずと変化して行くありのままの光景には、私たち人間の存在のありか、それ故の世界の闇と光を見ることができるのではないでしょうか。
山内悠
1977年兵庫県生まれ。独学で写真をはじめ、スタジオアシスタントを経て制作活動を本格化。2008年、第31回キヤノン写真新世紀にて佳作受賞。
富士山七合目にある山小屋に600日間滞在し雲上の世界を撮り続け、山での暮らしから宇宙へ意識が広がる体験の中で制作した作品『夜明け』(赤々舎)を 2010年に発表。2014年には、その滞在していた山小屋の主人に焦点をあて、山での日々から人間が包含する内と外の対話を著した書籍『雲の上に住む人』(静山社)を刊行。2020年には、5年をかけてモンゴル全土を巡り各地で形成される時間や空間、 相対的な現実、多元的な世界構造などを探求した作品『惑星』(青幻舎)を発表した。
現在は長野県を拠点に、国内外で作品を発表し続けている。
展覧会概要
期間 | 2023/04/15(土) 〜 2023/05/14(日) |
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会場・開催場所 | 誉田屋源兵衛 黒蔵 |
時間 | 10:00~18:00(入館は17:30まで) |
休館日 | 4/19(水)、4/26(水)、5/10(水) |
料金 | 【単館チケット】 大人:800円 学生:600円(要学生証提示) ※中学生以下・障害者手帳をご提示のご本人様と同伴者1名は無料 ※パスポートでの入場は会期中1回のみ有効(エクスプレス・パス利用者を除く) |
注意事項等 |
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info@kyotographie.jp | |
ホームページ | https://www.kyotographie.jp/programs/2023/yu-yamauchi/ |