Exhibitions展覧会

映画をめぐる美術 ―― マルセル・ブロータースから始める

2013/09/07(土) 〜 2013/10/27(日)

京都国立近代美術館 

20世紀中ごろに活躍し、映画を表現方法に用い映像美術に特に大きな影響を与えたマルセル・ブロータース。彼を軸に、国際的に活躍する12名の作家のフィルム・写真・ビデオ・インスタレーションなどの作品を展示。映画をめぐる美術家の多様な実践をご紹介します。

詩人として出発したベルギー出身の芸術家マルセル・ブロータース(1924-1976)。
彼は1964年頃から美術の領域に身を置き、言語とイメージの関係を扱ったオブジェや写真・短編映画の制作、また公開書簡や出版などの著述活動、さらに美術を取り巻く権威や制度を批判的に検証する虚構性に満ちたプロジェクトなど幅広い創作活動を展開し、戦後美術の転換期に大きな足跡を残しました。

メインビジュアルで仮面を付けたブロータースが手にしている書物は『映画の発明 1832-1897』(ジョルジュ・サドゥール著、1946)です。これが示すように、ブロータースにとって映画は重要な表現方法のひとつであり考察対象でもありました。特に、ブロータースが映画を「書く」ための方法として位置づけたことは、それまでは「視る」ことへ主に意識を傾けてきた映像表現に対して、「読む」という視点を改めて強調した、と言えるでしょう。
時にユーモアを交えながら言語とイメージの関係を根源的に問うブロータースの実践は、後進の世代の美術家たちに大きな影響を与え続けています。とりわけ、写真やヴィデオ、インスタレーションの手法を用いた表現が急増した1990年代以降の美術動向を理解する上でも、有効な手がかりとなるように思えます。

主に1990年代後半以降、映像表現を手がける美術家たちは、映画の技術や理論、歴史に高い関心を持ち、過去の映画作品をさまざまな形で参照・解読するという創作手法を用いる傾向があります。
これを視野に入れつつ、今回の展覧会では、ブロータースによる映画に関するテクストやプロジェクトを参照軸に、そこから引き出される5つのテーマ―「Still / Moving」「音声と字幕」「アーカイヴ」「参照・引用」「映画のある場」―に即して、現在国際的に活躍している美術家12名による作品を展示します。
フィルム、写真、ヴィデオ、インスタレーションなどの作品により、映画をめぐる美術家の多様な実践を紹介します。
 

出展作家

マルセル・ブロータース
エリック・ボードレール/ドミニク・ゴンザレス=フォルステル/ ピエール・ユイグ/アイザック・ジュリアン/アンリ・サラ/シンディ・シャーマン/ ダヤニータ・シン/田中功起/アナ・トーフ/やなぎみわ/ ミン・ウォン/アクラム・ザタリ


【作品画像】
(1) エリック・ボードレール 《重信房子、メイ、足立正生のアナバシス、そして映像のない27年間》 2011年 カディスト美術財団蔵
  Courtesy of Kadist Art Foundation © the artist
(2) ダヤニータ・シン《ファイル・ルーム》 2013年 © the artist
(3) やなぎみわ 《GLORIA & LEON》 2004年 © Miwa Yanagi
(4) ドミニク・ゴンザレス=フォルステル 《2058(図書目録)》 2012年
   Photography: Andrea Rossetti Courtesy of the artist, Esther Schipper, Berlin and Corvi-Mora, London © the artist
(5) 田中功起 《a poem written by 5 poets at once (first attempt) 》 2013年
  commissioned by The Japan Foundation for the occasion of the show "abstract speaking - sharing uncertainty and collective acts,"at The Japan Pavilion at the 55th International Art Exhibition - la Biennale di Venezia, 2013 © the artist

展覧会概要

期間 2013/09/07(土) 〜 2013/10/27(日)
会場・開催場所 京都国立近代美術館
時間 9:30~17:00(金曜と9/7、10/26は20:00まで開館/入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、祝日は開館し、翌火曜日は閉館)
料金 一般:850円(700円/600円)
大学生:450円(350円/250円)
高校生以下:無料
注意事項等 ※()内は前売、及び20名以上の団体料金です。 ※上記料金でコレクション展もご覧いただけます。 ※高校生及び18歳未満、心身に障がいのある方と付添者1名は無料です(証明できるものをご提示ください)
お問い合わせ TEL:075-761-4111075-761-4111
ホームページ http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2013/399.html

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