Exhibitions展覧会
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
大正から昭和にかけて京都で活躍した日本画家、甲斐荘楠音(かいのしょう・ただおと/1894-1978)。絵画だけでなく演劇や映画界にも進出し幅広く活動した彼の全貌を明らかにする大回顧展です。
甲斐荘楠音は、革新的な日本画表現を世に問うた美術団体「国画創作協会(国画会)」のメンバーとしても知られます。通念としての理想美を描き出すのではなく、美醜を併せ呑んだ人間の生々しさを巧みに描写したその画風は、戦前の日本画壇で高く評価されました。
その後1940年代初頭に甲斐荘は画業を中断し、映画業界に転身。風俗考証や衣装デザインなどを手掛け活躍しました。しかし、業界を移ったことでその画業が十分に顧みられない時期が長らく続きました。
晩年の1970年代半ばから再評価が高まり、没後20年目の1997年には京都国立近代美術館にて回顧展「甲斐荘楠音展」が開催、「京都画壇の異才」という定評を確立しました。しかしその際はあくまで日本画家としての紹介に留まっています。
京都国立近代美術館では2度目の回顧展となる本展では、“異色の日本画家”から“複雑かつ多面的な個性をもつ表現者”としての甲斐荘楠音の再定義をテーマに、日本画家という枠組みに収まり切らない甲斐荘の「越境性」に焦点を当てます。
昭和を代表する映画監督・溝口健二らを支えた風俗考証家、また歌舞伎など演劇を愛好し自らも素人芝居に興じた趣味人としての甲斐荘の活動は、これまでほとんど注目されてきませんでした。本展では、そんな画家としての評価の陰に隠れてしまった他の側面に注目。絵画はもちろん、スクラップブックや写生帖、写真や映像、映画衣裳、ポスターなど、甲斐荘に関する資料のすべてを等しく展示します。
これらの資料からは、甲斐荘の多岐にわたる興味と欲望の交錯、想像する個人の複雑な内面世界が見えてきます。一つひとつの作品は、それらの集まり形作った重層的な結晶として再解釈されるはずです。
俳優が様々な役柄を演じ分けるように、多彩な顔を持った甲斐荘楠音という一つの個性は、現代を生きる我々に少なからぬ示唆をあたえてくれることでしょう。
展覧会概要
期間 | 2023/02/11(土) 〜 2023/04/09(日) |
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会場・開催場所 |
京都国立近代美術館
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時間 | 10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入館は各日閉館30分前まで |
休館日 | 月曜日 |
料金 | 一般:1,800円(1,600円) 大学生:1,100円(900円) 高校生:600円(400円) ※()内は20名以上の団体料金 ※中学生以下、心身に障がいのある方と付添者1名、母子家庭・父子家庭の世帯員の方は無料(入館時に証明できるものをご提示ください) ※本料金で同時期開催のコレクション展(コレクション・ギャラリー内で開催のリュイユ展含む)もご覧いただけます。 |
注意事項等 |
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お問い合わせ | TEL:075-761-4111075-761-4111 |
ホームページ | https://www.momak.go.jp/ |