Exhibitions展覧会
開館60周年記念「小林正和とその時代―ファイバーアート、その向こうへ」
日本を代表するファイバーアート作家、小林正和(1944-2004)。2024年はその生誕80年・没後20年の節目となることを機に開催する、初の回顧展です。小林正和の作家活動とその意義、国際的な位置づけを代表作や未公開の関連資料の数々で振り返り、「ファイバーアート」の過去・現在・未来について考えます。
1960年代以降、欧米において従来のテキスタイルの概念を超えるような作品群が数多く登場しました。伝統的な技法を踏まえつつも、天然・合成繊維のみならず、金属や鉱物などさまざまな素材を取り込み、平面から立体へ、そして空間へと展開した作品群は「ファイバーアート」と呼ばれるようになります。その新たな潮流は、とりわけ1962年~1995年にスイス・ローザンヌで開催された国際タペストリー・ビエンナーレを中心に、世界へと波及していきました。
日本におけるファイバーアートのパイオニアである小林正和は、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で漆工を学んだものの、より自由な色彩表現を求めて川島織物のデザイン部に就職します。そこで小林が出会ったのが「糸」という素材でした。一本の「糸」に内在する表現の可能性を追求した小林は、糸を「垂らし」「緩め」「張り」、それを集積させた立体造形作品を発表。そして第6回国際タペストリー・ビエンナーレへの入選を皮切りに、国際的にも高く評価されるようになりました。
小林は、糸を含む「ファイバーは人間と密接に結びついている」と考え、常に作品において空間と関係を切り結ぶことを志向していました。その思いは次第に屋内作品から戸外でのインスタレーションとして展開していきます。
また、作家活動の一方で小林は後進の育成にも努めました。大学で教鞭をとる傍ら、小林は1981年に草間喆雄・浅井伸一とともに、国内初のファイバーアート専門ギャラリー「ギャラリーギャラリー」を京都四条河原町に開設。ファイバーアートの実験場として展覧会活動を行い、多くの後進作家にに刺激を与え続けました。
本展では、小林正和がその名を世に知らしめるきっかけとなった《吹けよ風/Blow in the Wind》シリーズをはじめ、数多くのインスタレーション作品、スケッチブックやドローイング、さらにはデザイン作品など、約80点を展示します。あわせて、彼と歩みを共にした同時代の作家17名の作品を展示。うち4名の作品は、本展のために制作された新作となっています。
1970年代から90年代にかけて京都に発したファイバーアート。その同行と今後の展開について改めて考えるとともに、ファイバーアートの世界を作品を通して実際に体験し、その未来を考える機会となることを期待します。
展覧会概要
期間 | 2024/01/06(土) 〜 2024/03/10(日) |
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会場・開催場所 |
京都国立近代美術館
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時間 | 10:00~18:00(金曜日は~20:00) ※入館は各日閉館30分前まで |
休館日 | 月曜日(ただし1/8(月・祝)、2/12(月・祝)は開館)、1/9(火)、2/13(火) |
料金 | 一般:1,200円(1,000円) 大学生:500円(400円) ※()内は前売・20名以上の団体料金、及び夜間割引(金曜18:00以降の入館) ※高校生以下・18歳未満、心身に障がいのある方と付添者1名、母子・父子家庭の世帯員の方は無料(入館時に証明できるものをご提示ください) ※上記料金にてコレクション展もご覧いただけます |
注意事項等 | 状況により、やむを得ず予定が変更となる場合がございます。最新情報は京都国立近代美術館のホームページをご確認ください。 |
お問い合わせ | TEL:075-761-4111075-761-4111 |
ホームページ | https://www.momak.go.jp/ |