Exhibitions展覧会

タムラグリア 展 「輪郭線の上にて」

2014/06/06(金) 〜 2014/06/18(水)

【閉廊】gallery near 

物質のイメージやフォルムを別のものと置き換え組み合わせることでシュルレアリスム的な独特の世界観を生み出す画家、タムラグリアの個展です。今回は新作を中心に大小様々な作品で構成されます。音が聞こえなくなることを絵具を塗り重ねて見えなくなる「輪郭線」になぞらえ、画面の中に風景の音を内包させる表現を試みます。

タムラグリア「何もない日」2014年

シュルレアリスムを思わせる非現実的な世界観が印象的な画家、タムラグリアの個展です。

過去に自ら劇団を主宰、脚本・演出までを手がけるなど多彩な才能を持つタムラグリアは、劇団の解散後から本格的に油彩をはじめ、宝塚造形芸術大学大学院在学中からさまざまな展覧会に出展。2008年・2009年と立て続けに賞を受賞し、その後も2012年にはパリ・ルーヴル美術館、2013年にはニューヨークのギャラリーでのグループ展に出展するなど、国内外で積極的に活動し、注目を集めている作家です。

タムラグリアが描く画面は、まるで夢の中で起こっているような独特の雰囲気に見る者は惹きこまれます。その表現は夢や無意識下でしか起こりえない奇妙な世界を具象的に描いた、サルバドール・ダリやルネ・マグリットといったシュルレアリスムの画家を髣髴とさせます。
しかし、タムラグリアの表現はそれらの思想とはまったく逆とも言えるほど、意識的にモチーフたちを結びつけ、タイトルからも精神的な思想や人間心理を具象化したようになっています。
たとえば、「何でも無い日」(2014)では、広い荒野で身体を仰け反らせた女性の頭部は枯れ技のように描かれ、まるで髪を振り乱して一心不乱に踊っている様子を切り取ったかのように見え始めます。タムラグリアは自身が様々な物質に抱くイメージや フォルムを意識的に置き換え、組み合わせることで、シュルレアリスムを想起させる不可思議な画面を描きます。ですが、それらの根源となる思想 とは異なる視点で物事を俯瞰し、自らの表現に昇華しています。

今回の展覧会「輪郭線の上にて」は、新作を中心に大小様々な作品で構成されます。
自身の聴覚の弱まりを自覚しているタムラグリアは、それを「音の輪郭がわからなくなる」と表現しています。消え行く音の輪郭を、絵具をのせるにつれて見えなくなる輪郭線になぞらえ、画面の中に風景の音を内包させる表現を試みています。
タムラグリアは絵画における輪郭線(下書き)を、生物の肉体における骨格や血管、植物なら葉脈や導管といった、表層上(絵画における画面上)にははっきりと現れてこなくとも物質(絵画作品)を形作る上で不可欠なものとして考え、それを「輪郭が見えなくなる」ことで逆説的に表現しているようにも見えます。

一見、奇妙で鑑賞者を混乱させるような画面が多く描かれている中で、どこか希望や未来を指し示しているような印象を受けるのは、人間を含む全ての生命に対しての深い愛情と畏怖の念をキャンバス上に表現しているからではないでしょうか。慈愛に満ちた画面に内包されるタムラグリアが聴く情景の音は、見えなくなった輪郭線の存在を意識することで、より鮮明な音となって見る者の耳に届くことでしょう。

展覧会概要

期間 2014/06/06(金) 〜 2014/06/18(水)
会場・開催場所 【閉廊】gallery near
時間 12:00~22:00(最終日は17:00まで)
料金 無料
お問い合わせ TEL:075-708-8822075-708-8822
FAX:075-708-8822
E-Mail info@blow-works.com
ホームページ http://blow-works.com/near.html

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