【祇園祭特集】速報レポート・杉本家住宅の屏風祭
杉本家住宅の屏風祭、一足早くお邪魔して来ました!
通常、屏風祭は14日~16日の宵山に併せて行われるのですが、7月12日に一足早く「杉本家住宅」の屏風祭にお邪魔してきました!
多くは家の玄関先などに飾ってそこだけを公開しているのですが、中にはこのように建物の中まで入れてくださり、あちこちの部屋に作品を飾って、室内と合わせて公開しているところもあります。
飾られる作品も煌びやかな金屏風から、美しい花鳥画まで様々。どれも非常に貴重なものばかりです。
今回のメインのひとつは、長崎出身の画家熊代繍江(くましろしゅこう/1712-72)筆「蘆雁図屏風」。21羽の雁がアシの茂る水辺で羽を休める姿を活き活きと描いた花鳥図です。
「鳥の羽の触感まで伝わってきますよね。自然を見る目、特徴をしっかりと抑えた確かな画力が感じられます」
と仰っていたのは、作品をご案内下さった学芸員で、この家に実際に暮らしていらっしゃる杉本歌子さん。確かに、一羽も同じように描かれた雁は絵にいません。どれもそれぞれ違った表情をしていて、見ていてとても楽しい作品でした。
他にも、祇園祭らしい、山鉾の図柄をあしらった扇面図(こちらは土佐光吉の作で、後陽成天皇の所持品とも言われる品だそう。400年以上も前のものとはわからないほど、鮮やかな色合いでした)など、祇園祭を題材にしたような時期にぴったりの作品も見ることが出来ました。
この屏風祭の素晴らしいところは、通常の展覧会と違って、部屋の設えとして自然な形で楽しめるところ。普段、展覧会でこのような作品を目にするとガラスケース越しや蛍光灯の光で見ることになりがちですが、もともと屏風は少し薄暗い、室内で飾るために描かれたもの。
自然に差し込む光が生み出す、薄暗い陰影。そして、その光を柔らかく反射して見える、薄ぼんやりとした金の光...これが、絵師が考えた「本来の絵の姿」。
それに近い状態、しかも展示するのではなく部屋の一部として鑑賞することが出来るのです。
「今では、屏風を前にしてくつろぐこともあまりできなくなってしまいましたが、ここではその屏風の空間に流れる空気感を感じてもらって、「ハレの空間をくつろぐ」感覚を味わって欲しいと思っています」
と歌子さんは仰っていました。
屏風の向こうには、鮮やかな緑が美しい中庭。庭や玄関先から通り抜ける風、そして涼しげな氷柱...ついつい、居心地が良すぎて時間を忘れて長居をしてしまいそう。
全てが相まって、とても穏やかな、そしてなんとも贅沢な空間がそこには広がっています。
14日からは、同じ建物の「表の間(店の間)」で伯牙山のお会所飾りも行われます。
普段はなかなか見学が出来ない施設です。是非この祇園祭の機会に、ご覧になってみて下さい。
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