【投稿レポート】「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展」(京都文化博物館)
実際の展覧会の様子をご紹介している展覧会レポート。
今回はボランティアライターのkeiko.hさんに、こちらの展覧会の感想レポートをお寄せいただきました!keiko.hさん、どうもありがとうございます!
「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展」 @京都文化博物館
(2010/10/09-12/05)
芸術の秋...というには少し遅いですが、
京都文化博物館の「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展」に行ってきました!
カポディモンテ美術館はイタリアを代表する美術館のひとつであり、ルネサンスからバロックまでのイタリア美術を概観できます。
構成は、「Ⅰ イタリアのルネサンス・バロック絵画」「Ⅱ 素描」「Ⅲ ナポリのバロック絵画」の3つから成っていました。
パトロンとして芸術家たちを支え、美術の発展に寄与していた貴族のコレクションというだけあり、作品全体が豪華で重厚な感じがしました。
グイド・レーニの《アタランタとヒッポメネス》や、アルテミジア・ジェンティレスキの《ユディトとホロフェルネス》など、ダイナミックな動きが描かれた、サイズの大きな作品が多く、観ていて迫力があります。
明暗が強調された技法も、薄暗い会場のなかで引き立っていました。
私が一番印象に残ったのは、やはりこの展覧会の目玉でもある絵画、《貴婦人の肖像(アンテア)》です。
パルミジャーノによるこの作品は、不自然なポーズや人体表現、鮮やかな色彩と明暗といった、マニエリスムの様式がよく表れています。
アンテアは一見、正面を向いているように見えますが、右肩(向かって左側)が前方に出ており、左肩(向かって右側)が短縮して描かれているので、よく見ると体がねじれています。豪華な服を着て顔も美しいのに、じーっと観ているとその表情や雰囲気はミステリアスでいくらか不気味な感じもしました。
このアンテアは、チラシで「謎の美女」と称されている通り、どのような人か分かっていないそうです。高級娼婦とも、花嫁とも言われているとか。
私はその大胆不敵とも言えるような表情に、ただならぬ迫力を感じましたが...(笑)。
この機会にご対面して、自分はどのように感じるか試してみてはいかがでしょうか。
油絵の大型で鮮やかな作品も非常に見応えがありましたが、素描作品も新鮮で面白かったです。
正直なところ、貴族趣味の豪華な油絵作品がずっと続くと、私は何だかお腹いっぱいという感じがしてくるのですが(笑)3部構成の中間に素描作品の部が挟まれており、お口直しのような感じで丁度良かったです。
展覧会の説明表示によると、素描自体に芸術的価値を見出されるようになったのは盛期ルネサンス頃だそうです。
目的に応じて画家は素材や描法を変えたらしく、展示されている14点の作品も多彩なものとなっています。青色や灰色、象牙色など様々な色の紙に、チョークや木炭、油彩にテンペラ、インクなどの画材を使って描かれていました。
また、一つの画面にいくつもの要素が描かれているものが多く、画家の頭の中を見ているようでした。
例えば、ジョヴァンニ・ランフランコの《祝福を与えるキリストの習作》。輪郭のあまり無い顔の横に、違った動きをしている手が3本描かれています。
題のような場面を想定して、画家はキリストや手の動きを考えていたのかなと思うと、完成品では味わえない、また新しい作品の見方ができるのではと思いました。
以上のような作品の他にも、ランプや杯などの調度品や、彫刻作品も展示されていました。
入り口から入ってすぐのところに展示されている《パウルス三世胸像》は、思わず頭を下げてしまいそうな存在感がありました(笑)。
この展覧会は12月5日(日)までですが、その後京都文化博物館は来年の7月頃まで、リニューアルのために休館されるそうです。休館前の文化博物館、一度訪れておいてはいかがでしょうか。
京都文化博物館の「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展」に行ってきました!
カポディモンテ美術館はイタリアを代表する美術館のひとつであり、ルネサンスからバロックまでのイタリア美術を概観できます。
構成は、「Ⅰ イタリアのルネサンス・バロック絵画」「Ⅱ 素描」「Ⅲ ナポリのバロック絵画」の3つから成っていました。
イタリア名門貴族の鑑識眼
カポディモンテ美術館は、ファルネーゼ家、ブルボン家といったイタリア名門貴族のコレクションを中心に成り立っています。パトロンとして芸術家たちを支え、美術の発展に寄与していた貴族のコレクションというだけあり、作品全体が豪華で重厚な感じがしました。
グイド・レーニの《アタランタとヒッポメネス》や、アルテミジア・ジェンティレスキの《ユディトとホロフェルネス》など、ダイナミックな動きが描かれた、サイズの大きな作品が多く、観ていて迫力があります。
明暗が強調された技法も、薄暗い会場のなかで引き立っていました。
私が一番印象に残ったのは、やはりこの展覧会の目玉でもある絵画、《貴婦人の肖像(アンテア)》です。
パルミジャーノによるこの作品は、不自然なポーズや人体表現、鮮やかな色彩と明暗といった、マニエリスムの様式がよく表れています。
アンテアは一見、正面を向いているように見えますが、右肩(向かって左側)が前方に出ており、左肩(向かって右側)が短縮して描かれているので、よく見ると体がねじれています。豪華な服を着て顔も美しいのに、じーっと観ているとその表情や雰囲気はミステリアスでいくらか不気味な感じもしました。
このアンテアは、チラシで「謎の美女」と称されている通り、どのような人か分かっていないそうです。高級娼婦とも、花嫁とも言われているとか。
私はその大胆不敵とも言えるような表情に、ただならぬ迫力を感じましたが...(笑)。
この機会にご対面して、自分はどのように感じるか試してみてはいかがでしょうか。
素描作品の面白さ
油絵の大型で鮮やかな作品も非常に見応えがありましたが、素描作品も新鮮で面白かったです。
正直なところ、貴族趣味の豪華な油絵作品がずっと続くと、私は何だかお腹いっぱいという感じがしてくるのですが(笑)3部構成の中間に素描作品の部が挟まれており、お口直しのような感じで丁度良かったです。
展覧会の説明表示によると、素描自体に芸術的価値を見出されるようになったのは盛期ルネサンス頃だそうです。
目的に応じて画家は素材や描法を変えたらしく、展示されている14点の作品も多彩なものとなっています。青色や灰色、象牙色など様々な色の紙に、チョークや木炭、油彩にテンペラ、インクなどの画材を使って描かれていました。
また、一つの画面にいくつもの要素が描かれているものが多く、画家の頭の中を見ているようでした。
例えば、ジョヴァンニ・ランフランコの《祝福を与えるキリストの習作》。輪郭のあまり無い顔の横に、違った動きをしている手が3本描かれています。
題のような場面を想定して、画家はキリストや手の動きを考えていたのかなと思うと、完成品では味わえない、また新しい作品の見方ができるのではと思いました。
以上のような作品の他にも、ランプや杯などの調度品や、彫刻作品も展示されていました。
入り口から入ってすぐのところに展示されている《パウルス三世胸像》は、思わず頭を下げてしまいそうな存在感がありました(笑)。
この展覧会は12月5日(日)までですが、その後京都文化博物館は来年の7月頃まで、リニューアルのために休館されるそうです。休館前の文化博物館、一度訪れておいてはいかがでしょうか。
文責:keiko.h 編集:京都で遊ぼうART
ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展は、12/5(日)まで開催されています。
残り期間も少なくなってきましたが、レポートを読んで「気になった!」という方、まだ間に合います!こちらをご参考に是非足を運んでみて下さいね。
keikoさん、素敵なレポートをどうもありがとうございました!
なお、ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展については、関連記事も今までに幾つか掲載しておりますので、こちらも併せてご覧下さい。
→ 【予習】「ナポリ・カポディモンテ美術館展」(10月9日~/京都文化博物館)を予習!
→ 【予習・復習】ナポリ・カポディモンテ美術館展 見どころ作品&キーワード(アンテア編)
ちなみにレポートにも書かれていますが、京都文化博物館はこの展覧会を一区切りとして、来年7月まで改装休館に入ります。その前に、一度足を伸ばしてみては?
★「京都で遊ぼうART」に参加してみませんか?★
京都で遊ぼうARTでは展覧会や施設の感想や、京都のアート情報の紹介を随時募集しています。
展覧会や施設に行ってみた方、生の感想を是非お寄せ下さい!
また、アートイベントや展覧会の開催情報など、アーティストさんや主催者さんなどからの掲載依頼も随時受け付け中です!
→ボランティアライターに関する詳細はこちら
→お問合せについてはこちら
京都で遊ぼうARTでは展覧会や施設の感想や、京都のアート情報の紹介を随時募集しています。
展覧会や施設に行ってみた方、生の感想を是非お寄せ下さい!
また、アートイベントや展覧会の開催情報など、アーティストさんや主催者さんなどからの掲載依頼も随時受け付け中です!
→ボランティアライターに関する詳細はこちら
→お問合せについてはこちら
関連リンク
ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展
京都府京都文化博物館
【予習】「ナポリ・カポディモンテ美術館展」(10月9日~/京都文化博物館)を予習!
【予習・復習】ナポリ・カポディモンテ美術館展 見どころ作品&キーワード(アンテア編)
《keiko.hさんの過去のレポート》
【投稿レポート】「モーリス・ユトリロ展」(美術館「えき」KYOTO)
⇒ その他、展覧会のレポートはこちら!