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【内覧会(3/29)レポート】特別展覧会「狩野山楽・山雪」(京都国立博物館)

2013/04/05

2013年3月30日(土)からスタートした京都国立博物館の特別展覧会 「狩野山楽・山雪」、もうご覧になられましたか?
京都で遊ぼうARTの担当Sが展覧会開催の前日・3月29日に一足早く内覧会に足を運んでまいりました。その際のレポートです。もう行かれた方には復習に、まだの方には予習に、ぜひ参考にしてください!

(3月29日にtwitterにて行った速報レポートを加筆修正したものです)


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大障壁画をはじめ大作・名作がずらりと並ぶ風景はまさに圧巻の一言。華麗で濃厚、力強いけど品やこだわりもひしひし感じる、京狩野派の魅力がつまった展覧会でした。

展覧会全体の構成は、構成は師匠の山楽からスタートし、弟子の山雪へと繋がっていく流れとなっています。途中には2人の合作ともいえる作品もあり、2人の間に何が受け継がれていったのかもたどれるようになっています。
展覧会のタイトルを見ると2人の「対決」というように感じられるかもしれませんが、そうではなく師匠から弟子に受け継がれたものはなんだったのか、そして弟子が自分らしさをどこに出して行ったのかを辿る、ということが、展示のコンセプトだったそうです。


まずは師匠の山楽から。

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山楽は「最も永徳を受け継いだ人」といわれるに相応しく、ダイナミックで明るく力強い作品が多く感じました。特にポスターにもなっている「龍虎図屏風」は、実物は虎の顔が人の顔と同じくらいの大きさの大迫力です!
企画担当の学芸員さんは「虎の口の中」もじっくり見て欲しい、と仰っていました。
担当Sとしてのお勧め鑑賞ポイントは、「龍虎図屏風」の左端から数歩下がったところ。
虎の描かれている左隻側から龍のいる右方向へ斜めになるように眺めると、より迫力が増して感じられる気がしました。

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他、山楽の作品としては源氏物語の一場面を描いた「車争図」も見どころ。「源氏物語」の有名な場面のひとつ、光源氏の妻の葵上と六条御息所が、葵祭の行列の見物場所をめぐって争っているシーンです。
大和絵のタッチで細やかに描かれた群衆は、皆とっても表情豊か。仲の良さそうな親子や家族連れ、行列の最中におしゃべりしている人など、じっくり見れば見るほど楽しめます。
乱闘シーンの滅茶苦茶っぷりも、現場の混乱具合が見ているこちらにも伝わってきます。
ちょっとマンガのようなコミカルさも感じられる作品です。


一方、山雪は全体的に絵に対する尋常でないほどのこだわりっぷりが伝わってきます。驚くほど徹底した描きこみや丁寧なタッチには驚かされます。どの作品もじっくりと、遠くからも近くからも眺めてみたいものばかりです。

sanraku-sansetsu3.jpg特に「雪汀水禽図」は山雪の特徴がひとつの作品に凝縮されたような逸品。ぜひご覧になる際は近くまで寄って見てください。まるで装飾をしているのかというほど細かい工夫がいっぱいです!

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もちろん山雪といえばおなじみの「老梅図」、日本初里帰りの「群仙図」も見どころ。後者はまるで演劇の舞台を見ているような感じで、仙人のキャラがとても生き生き描かれた作品です。

sanraku-sansetsu6.jpgまた、山雪といえば「濃い」「超個性的」のイメージがつきものですが、それをひっくりかえされるような、とっても可愛らしい作品もあります。もこもこのぬいぐるみのような猿や、くりくりとした眼がかわいい小さなふくろうは、思わず表情が緩みます。水墨画の掛け軸のスペースにご注目を!

また、今回は特に図録の表紙を触ってみて頂きたいです。展覧会を最後まで見た人なら、「おお!」と思う工夫がされていますよ。
京都限定開催なので、巡回はありません。ぜひお見逃しなく!


sanraku-sansetsu7.jpgちなみにミュージアムショップはこんな感じ。
今回は辻利さんのティーパックと豆政さんの豆菓子の展覧会限定パッケージや、かわいい山雪の描いた動物をあしらったTシャツやトートバックが登場しています。
また、京都国立博物館限定カラーの胡粉ネイルなど、新しいオリジナルグッズも発売されているので要チェックです!

特別展覧会 「狩野山楽・山雪」
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