【レポ】特別展「京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ」内覧会
京都国立博物館で9月29日からスタートの特別展「京のかたな 匠のわざと雅のこころ」の内覧会に参加してきました!
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120年の歴史を持つ京都国立博物館で刀剣を特集した展示は75年ぶり(それでも中規模)、博物館全体をまるっと使ったここまでの大規模な展覧会は初めてとのこと。
佐々木館長も冒頭の挨拶で「刀剣乱舞というゲーム、刀剣女子の皆さんが大きな流れを作ってくれたおかげだと思います」と仰っていました。ムーブメントの力が後押しした展覧会なのですね。
展示風景はこんな感じ。今まで金工のコーナーで刀剣の特集展示は行われていましたが、空間全体を埋め尽くすようにずらりと刀剣が並ぶ光景は、荘厳かつ壮観!どこかスッと背筋を伸ばしたくなるような美しさです。
佐々木館長がご挨拶の中で「刀は武器の概念を超え、日本人の感性や美意識が凝縮されている。それを思い出しながら見ていただきたい」という言葉がありましたが、それを間近に感じた気がします。
写真だと色味が少ない分地味に感じてしまいますが、そこはぜひ、会場で体感してください!
また、館内では4か国語で刀の鑑賞ポイントをまとめたフライヤーが配布されていたり、刀の見方を解説したパネル展示があったりと初心者向けの配慮も沢山されていましたよ。
続きではより詳しい見どころをご紹介します!
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刀を見るときにポイントとなるのはその姿形はもちろん、刀の模様「刃紋」も個性を発揮するところ。角度や高さ、部屋の明るさによって見え方が変わってしまう難しいところですが、今回はしっかり肉眼でも模様を確認することができましたよ。
少し離れたところから刀全体の形を拝見して、それから近くに寄ってから刃紋や細かい部分を見るのがおすすめです。
部屋の中心に独立したタイプの展示ケースにある刀は、正面はもちろん横からも後ろからもその姿を眺めることができます!普段の展示環境ではなかなか確認できないところも見ることができるので、この機会に舐めるように(?)じっくり拝見したいところです。
※写真は「名物 三日月宗近」。他に「名物 圧切長谷部」などもこのタイプの展示でした
また、今回の展示では刀に付属しているハバキ(刀が鞘から抜けないように、刀身の手元部分にはめておく金具)がある場合は刀の下に一緒に展示されています。持主の家紋がデザインされていたり模様があったり個性があるものも多いので、こちらも隠れた見どころですよ。
また、今回の展覧会が初公開となる品や、新発見の研究成果の発表も盛りだくさんだそう!
そのひとつがこちらの、祇園祭の長刀鉾の長刀。
元々存在は知られていたものの、一般の目に触れることもきちんと学術調査される機会もこれまでなかったという代物です。展覧会に際して改めて調べたところ、銘文に長刀自体の由来や戦乱の中で混乱した京都の街の状況を伺わせる記録が書かれていることがわかったそうです。いわば京都の歴史を後世に伝えるタイムカプセルですね。(なお、鉾の上につけるものなのでサイズも巨大!ぜひ会場で背比べしてみてください)
祇園祭では他にも山に乗せる人形が刀を持っていたりするのですが、そちらも今回展示されています。まず普段は拝見する機会がない貴重な逸品ですので、こちらも注目したいところです。
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ちなみに、こちら「京のかたな」展の図録。
シンプルなようで、よく見ると黒地に模様が浮き上がってくるというとても格好いい表紙です。
また、今回は作品毎に横に丁寧な解説文がついていて、解説でポイントを確認しながら写真を眺められるのでとても分かりやすい構成になっています!もちろん刀の写真は刃紋も細かくくっきり見えて、美しいのひとこと。おうちでも展覧会気分が楽しめる一冊です。
もちろんグッズ売り場も充実!デザインもとてもお洒落で刀に詳しくなくても欲しくなってしまうものばかりです。
なお、刀剣ブームの大きな力になったゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」のコラボ商品はコラボ展示と一緒にお隣の明治古都館にまとめられています。刀剣乱舞ファンの方はお間違えなきよう!
「かたな展」自体との共通したデザインもありますね。
キャラクターパネル&イラスト展示も壮観でした!
こちらは写真撮影・SNS掲載もOKだそうですよ♪明治建築との組み合わせも素敵です。
京博の本気!を感じる展覧会。
刀剣ファンの方も、そこまで詳しくないけどちょっと気になるな、という方も、この機会に刀の世界を体験してみてはいかがでしょうか?