【DWK2019|OPEN FACTORY】見学レポ《1》洸春陶苑(陶磁器)
DESIGN WEEK KYOTO 2019|工房見学レポート
「京都をよりクリエイティブな街に」をコンセプトに、京都在住の職人やクリエイター有志により開催されているプロジェクト「DEDIGN WEEK KYOTO」。
今年も1週間限定で実際のモノづくりの現場を公開するオープンファクトリー企画を開催されました。
DESIGN WEEK KYOTOに広報協力している「京都で遊ぼうART」では、そのうち4つの工房をスタッフが実際に見学!その様子を改めて、少しですがご紹介します。
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【1】洸春陶苑(陶磁器)

1件目は「洸春陶苑」の高島慎一さん。
工房は東山は今熊野エリアから細道を少し奥に行った、いくつか陶芸工房が立ち並ぶ場所にあります。

「元々先代の父がやっていたんですが、今ではあまりよそでやられていないんですよね」と高島さん。お父様が早くに他界されたため、最初は技術の習得に苦労されたそうです。



「以前は色有りの作品が主体だったんですが、最近はそれにこだわらず、色味の少ない白主体のものも増えましたね。食洗器やレンジにも対応していますし、洋食器のような感じだと今のライフスタイルで使ってもらいやすいでしょうから、それを意識しています」と高島さんは言います。
高島さんの手掛ける作品は、技術的には昔から受け継がれてきたものばかりです。しかしそんな伝統の技を現代のライフスタイルや需要にあわせた使い方に適応させることで、今に活かしておられます。
「最近では「京焼」であることを前面に出してアピールする人は少なくなっています。京焼だから売れる、という時代ではもうない。その代わり、自分のスタイルをしっかりと持っている、作家性が強い人が増えているように思います」と高島さんはいいます。
かつては京焼はその名だけで大きなブランド力を持っていました。しかし、人々の趣向も多様化し様々な産地の品を容易に手に取れるようになった現在、それだけでは人の目に留まることは難しくなっています。昔から色々な地域の文化が集まるみやこであった京都では、様々な土地の技法・表現を吸収して焼物を発展させてきました。その分、京焼は他の産地のように土や焼き方などにこれといった突出した特徴はありません。或る種「なんでも有り」が特徴ともいえます。
高島さんは「京焼にはこうしなければならない、ということがあまりありません。そこに、新しいことに取り組める土壌があるのだと思います」と仰っていました。


「器を作るのもいいけれど、他のものに挑戦することは面白いですね。仕事の幅が広がりますから。そうやって僕が焼き物ができること、やれることを増やして新しい仕事を増やすことが、次を担う若い人たちのためにもなると思っています。陶芸が求められる場を増やすことで、若い人たちが経験を積める、活躍できる場を増やしてきたいですね」

「新しいことは好き。こういうことをする人がいるんだ、って若い人がポジティブに仕事をやってくれたらいい。僕は彼らの背中を押す立場でありたいと思っています」
焼き物の未来を見据えながら、その可能性を広げ続ける高島さんの言葉は、どこまでもポジティブでした。

高島さん、お忙しい中、ありがとうございました。
(撮影:浜中悠樹/文:そめかわゆみこ)
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