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【レポート】お正月は京都国立博物館へ!新春特集展示「京博のお正月」2026

2025/12/25

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もうすぐ2026年。皆さん、新年のご予定はお決まりでしょうか?
「特に予定がないかも......」という方におすすめしたいのが、博物館や美術館でのお正月展示の観覧です。

実は、博物館・美術館は早いところでは1月2日頃からすでに開館している施設もあります。寒い季節でも、空調管理の行き届いた館内なら快適に過ごせます。

なかでも、新年の展示企画に力を入れているのが京都国立博物館。毎年干支をテーマにした新春特集展示「干支を愛でる」シリーズを開催しているほか、同時期の名品ギャラリー(平常展示)でも、趣向を凝らした展示が展開されます。

今回は、そんな「京博のお正月」の2026年度展示の見どころをレポートします!

※記事は12/15の取材内容に基づきます。
※写真は特別に許可を得て撮影したものです(一般の撮影は不可)

新春特集展示「うまづくし―干支を愛でる―」

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新春特集展示「うまづくし ―干支を愛でる―」(京都国立博物館)展示風景

京博のお正月時期恒例、干支をテーマにした新春特集展示「うまづくし―干支を愛でる―」。2026年の干支は「午(うま)」ということで、今回は馬にまつわる作品を集めた展示となっています。

現代では、競馬や乗馬などを仕事や趣味にされている方でもなければ、馬と接する機会はあまりありません。しかし、かつて馬は移動や物資の運搬などに用いられ、人々の暮らしに欠かせない存在でした。そのため、美術品のモチーフとしても非常に多く取り上げられています。
干支のなかでも登場頻度は特に多い動物といえるでしょう。

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新春特集展示「うまづくし ―干支を愛でる―」(京都国立博物館)展示風景

この展示では、京都国立博物館が収蔵する数多くの「馬」にちなんだ作品から、20件余りを厳選して紹介しています。
美しい装飾で彩られた唐三彩の馬俑、遺跡や古墳から出土した土馬や埴輪、騎馬の姿をあしらった小袖(着物)、馬屋の前で人々がくつろぐ様子を描いた絵画など、馬と人との関わりを多角的に伝える作品が並びます。

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新春特集展示「うまづくし―干支を愛でる―」(京都国立博物館)展示風景
塩川文麟筆《駿馬図屏風》江戸~明治時代(19世紀)京都国立博物館蔵

なかでも目を引くのが、塩川文麟筆《駿馬図屏風》。
ほぼ実物大の馬を、一般的な屏風の倍となる6曲2双で描いた大作で、展示室でもひときわ存在感のある作品です。

本特集展示の解説文は、小学校高学年以降であれば無理なく読み進められるやさしい表現が特徴。ビンゴゲームのように楽しめるワークシートも用意され、小さなお子さんでも楽しめるよう工夫されています。親しみやすい内容なので、展覧会に行きなれていない方にもおすすめです!

新春特集展示「うまづくし─干支を愛でる─」(2025/12/16~2026/1/25)

研究員さんの熱意が迸る!特集展示にも要注目。

京都国立博物館では、特集展示「うまづくし―干支を愛でる―」と同時期に、注目の作品を紹介する特集展示も開催されます。
12-1月期に開催される特集展示は以下の2つ。どちらも担当研究員の熱意が感じられる内容です。

薩摩島津氏と東福寺即宗院

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特集展示「薩摩島津氏と東福寺即宗院」(京都国立博物館)展示風景

即宗院は、京都を代表する禅寺・東福寺の塔頭のひとつ。代々薩摩(現在の鹿児島)を治めてきた島津氏の、京都での菩提寺だったお寺です。
南北朝時代の武将で、島津氏6代当主・島津氏久の菩提を弔うための1387年に創建されましたが、1569年に一度焼失。1613年に再興されたものの、明治維新後の1869年に廃寺となりました。その際に伝来していた文化財の多くは散逸してしまいましたが、一部の古文書や工芸品を手に入れた方が2022年に京博へ寄贈されたことで、150年ぶりの発見となりました。
本展では、資料のこれまでの調査成果が紹介されています。

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沼津承正書状(折紙、仲夏廿日九日付)
東福寺即宗院(薩摩島津氏菩提寺)関係文書のうち 桃山時代 慶長18年(1613)
長岡成光氏寄贈 京都国立博物館
即宗院の障壁画を手掛けた絵師・沼津承正の書状。

展示の中心は、即宗院再興をめぐる1570年頃から1613年頃までの古文書。それぞれに丁寧な解説が添えられているので、古文書が読めなくても安心です。

古文書が書かれた安土桃山~江戸初期にかけては、島津氏にとっても激動の時代。先祖のお寺を再興しようとあちこちに協力を求めたものの、豊臣秀吉と対立したことで中断を余儀なくされていたりと、時代背景から島津氏のお家事情や周囲の人々との関係性も見えるところが面白い資料です。
追伸が生じたときに書き込めるよう、わざわざ冒頭に(!)スペースをあけているなど、昔の人の手紙のスタイルがよくわかる点も見どころ。

なお、展示だけでは理解しづらい部分については、1月24日(土)開催の土曜講座で担当研究員による詳しい解説が予定されています。

特集展示「薩摩島津氏と東福寺即宗院」(2025/12/16~2026/1/25)

光琳かるたと小西家伝来尾形光琳関係資料

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特集展示「光琳かるたと小西家伝来尾形光琳関係資料」(京都国立博物館)展示風景
《小倉百人一首歌留多》尾形光琳筆 18世紀 江戸時代

もうひとつの特集展示は、京都国立博物館に新たに寄託された尾形光琳筆《小倉百人一首かるた》のお披露目展。

江戸時代中期に活躍した「琳派」を代表する絵師・尾形光琳が手がけた作品で、「光琳かるた」の名で知られています。
今回は、読み札・取り札あわせて100組200枚すべてのかるたを一挙公開。1972年に東京国立博物館で展示されて以来、53年ぶりの公開で、関西では初展示となります。
壁面ケースいっぱいにずらりと並ぶかるたは圧巻!

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特集展示「光琳かるたと小西家伝来尾形光琳関係資料」(京都国立博物館)展示風景
重文《百人一首画稿(小西家伝来尾形光琳関係資料のうち)》尾形光琳筆 江戸時代 京都国立博物館蔵 18世紀

本展では、完成したかるたに加え、制作過程の画稿(下絵)も併せて展示されています。これは京博が所蔵する「小西家伝来尾形光琳関係資料」の中に含まれているもの。完成品と並べて見比べることで、下絵段階から完成品ではどんなところが変更されたのかがわかるようになっています。

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特集展示「光琳かるたと小西家伝来尾形光琳関係資料」(京都国立博物館)展示風景
右手が「トラりん」のモデルになった《竹虎図》 尾形光琳筆 京都国立博物館蔵。

他にも、光琳作の屏風とその下絵なども紹介され、光琳の制作過程を垣間見ることができます。京博の公式キャラクター「トラりん」の元である《竹虎図》も登場していますよ!
光琳や琳派ファンなら見逃せない展示内容です。

光琳かるたと小西家伝来尾形光琳関係資料(2025/12/16~2026/2/1)

一足早く、春の特別展「北野天神」をちょっと先取り!

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名品ギャラリー「奉納された鏡・華鬘・鎧」(京都国立博物館)展示風景
北野天満宮に奉納された懸鏡2件。

また、他の展示室(名品ギャラリー)では、2026年4月スタートの春の特別展「北野天神」に関連する作品も紹介されています。

今回展示されているのは、北野天満宮の神輿を飾るための懸鏡。
片方には豊臣秀頼の名が刻まれており、熱心に寄進を行った豊臣家との縁を今に伝えます。
特別展本編では展示されないそうなので、この時期ならではの"先取り展示"として、ぜひ注目したい一品です。

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さらに2月には、刀剣の見方を紹介する特集展示「縁を結ぶかたな ―国宝・重要文化財で学ぶ刀剣鑑賞―」も開催予定。「北野天神」展での北野天満宮所蔵刀剣の展示を見据えた内容で、人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボチケット付きセット券も販売されるそうです。

本番の特別展をより楽しむために、事前に関連展示を見ておく──そんな楽しみ方もできそうです。


展覧会というと、つい大型の企画展に目が向きがちですが、それ以外の時期にも、見ごたえのある展示は数多く開催されています。

新年のスタートに、少しゆったりと文化に触れる時間。正月休みの前後で予定が空いている方は、京都国立博物館での「展覧会はじめ」を検討してみてはいかがでしょうか?

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