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【レポート】Azuma Makoto Exhibition X-Ray FLOWERS(京都新聞ビル地下1階)

2025/03/21

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フラワーアーティストとして国際的に活躍している、東信(あずま・まこと)さんの写真展が、京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)3/20-3/30の日程で開催されています。

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植物による表現の可能性を追求し、まるで彫刻のような巨大な花の立体造形「Botanical Sculpture」やインスタレーション作品を手掛けてきた東さん。普段は色鮮やかな作品が多いなか、今回の展示は一転してモノクロの世界となっています。

20250319_174618.jpg本展で展示される「X-RAY FLOWERS」は、人間の目には見えない植物の内面にせまることをコンセプトに、植物のレントゲン写真で構成されたシリーズ作品。会場では、レントゲンフィルムの原板をライトボックスと組み合わせ、さまざまな植物の姿を暗闇に浮かび上がらせています。

色という情報が剥ぎ取られた植物たちは、一見すると骨格標本のよう。植物のフォルムが際立ち、細かな葉脈や花弁の細胞、種や蕾の内側までよく見え、自然のもつ神秘的な美しさが伝わってきます。
展示作品に特にキャプションはついていないので、どれが何の植物か考えながら見るのも楽しみ方のひとつです。細かい部分はルーペなどで拡大して見るのもおすすめ。(会場でも希望者には数量限定でルーペのレンタルがあります)

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植物は一種類のものもあれば、複数を組合せた作品もあります。
植物は厚みによってX線の透過率が異なり映り具合が変わるので、一つ一つの花の性質を考え、想像しながらレイアウトを行い、撮影を進めたそうです。
また、中身の詰まった球根部分は真っ白に映ったり、サボテンなど水分の多い多肉植物はぼんやりと霞がかかったような映りになるなど、レントゲン写真ならではの発見も多かったとか。

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壁面には植物をCTスキャン撮影した3D映像作品も展示。こちらは被写体の植物が360度回転するので、角度によって見える形が変化するのが見どころ。1つの画面につき数種類の植物がランダムで表示されます。平面のレントゲン写真とはまた異なる立体的な植物の面白さが味わえますよ。

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会場の京都新聞ビル地下1階は元印刷工場だった空間で、どこか退廃的でインダストリアルなテイストが特徴です。この植物との真逆な印象が「X-RAY FLOWERS」シリーズにはぴったり、ということで今回選ばれたのだそう。
また、BGMは東さんと親交の深いポスト・パンク・バンド「ALGIERS(アルジェ)」が今回の展示のために制作したもの。多彩な音楽をミックスしたミステリアスな雰囲気のサウンドと草花の神秘的な世界とのコラボレーションが楽しめます。

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他にも会場内では、東さんがPOLA化粧品の『B.A』シリーズ商品とコラボした展示ブースも。こちらでは植物のレントゲン写真にデジタル彩色を施して制作した作品が見られます。
X線によって透過した植物に色彩をのせることで、透明感のある独特の風合いを生み出しています。

展示は全て撮影可となっています。この機会には普段と違う植物の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。


※図録・関連書籍は会場内のブックストアで販売受付されています。
※非常に暗い室内での展示となります。足元には十分注意し、歩きやすい靴での観覧をお勧めいたします。

▼展覧会の概要はこちら

Azuma Makoto Exhibition X-Ray FLOWERS(京都新聞ビル地下1階)
https://www.kyotodeasobo.com/art/exhibitions/AzumaMakoto-X-Ray/

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