[二年坂を望んで]
京の都の石畳の坂道は、みやびを感じるのにうってつけです。
その東山の坂道の途中にある、
清水三年坂美術館
今回で2回目の訪問です。
前回は2階に展示されている企画展「芝山と杣田細工」を重点的に観覧したので、
今日は1階の常設展をじっくり鑑賞しました。
そこには、大きく分けて4つの展示がされてます。
1 金工 metalwork
2 七宝 Cloisonne
3 蒔絵 makie lacquerware
4 薩摩 Satsuma ware
まず最初に、金工のなかの、とてもボクの気を引いたのがこちら、
[花鳥図香炉 鹿島一谷]
今回も写真は撮れないので、メモ帳に絵を描きました。
一番てっぺんのつまみには、銀丸彫の麒麟、その下の蓋は肉彫・透かし彫りの龍唐草、
本体部分は鉄地に4つのパネルで金・銀・赤銅・四分一素銅の高肉象嵌の花鳥図です。
「しかもこの地の、鳳凰と唐草模様の布目象嵌が・・・とても繊細緻密で・・・」
もう言葉を失うほど、見入ってしまいます。
そのひとの手による芸術的美しさに思わず時間の経つのも忘れてしまうほどです。
さらに、七宝。そのなかの代表的な作品がこちら、
[蝶図瓢形花瓶 並河靖之]
上がボクが描いた絵、その下が実際の花瓶の写真です。
この写真は美術館で発売されている絵葉書のものです・・・
写真を撮りたい衝動を抑えて、作品群を鑑賞してます、ほんとは撮りたい・・・撮りた~い!
「羽が左右対称で、模様の線の境目がわからないくらい細かい・・・」
この作品もうっとりするほどの美しさで、
「正面からの図柄の蝶がほとんどだけど、たまに横からの飛んでる姿の蝶もいるわ~」
と感嘆のため息が漏れます。
お次は蒔絵。
[豆図手箱 蒲公英に雀図 池田泰真]
漆は、完全無欠の天然塗料。樹齢6~10年経過した漆の木から採った、樹皮を傷つけて
染み出した樹液を使います。
その性質は一度乾くと強酸・強アルカリにも侵されない強い塗膜を作ります。
「だからこの光沢が生まれるのか~・・・半永久的な感じがするもんな~」
そして、最後に薩摩。
[花見図花瓶 錦光山造]
「錦光山(きんこうざん)」とは、江戸中期より続く粟田焼きの名門で、
三代喜兵衛のとき将軍家御用茶碗師となり、
青蓮院宮の御用を命じられ、錦光山の号を下賜される。
七代宗兵衛が京薩摩を完成させる。
は~、なるほど~、勉強になります。
「この上部がアール・ヌーヴォー風なのか~、紫陽花・撫子の大胆な透かし彫りが・・・」
とても特徴的です。そして、これらの作品を見て感じるのが、神秘性。
ここ、清水三年坂美術館は、日本的美しさの宝庫です。
[美術館内の様子]
美術館から一歩外へ出ると、辺り一面打ち水がしてあって、冷んやりとした風に
「あ~!京都の夏!」
を感じました。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。