脈展 Vol.3 ととと
2013年8月20日|火|-9月1日|日|
11:00 – 19:00 / 最終日 18:00
を見に行ってきました。
この展覧会のテーマは、「他者と繋がること」ということで、ひとつの作品を作家同士のコラボレーションで制作しています。
先日、べつのギャラリーでお会いした作家・林葵衣(あおい)さんが出展しているということで足を運んだんです。今回も在廊していたので、作品に関するお話を聞くことが出来ました。
この展覧会では林さんは、安田祥(さち)さんという作家さんとコラボしています。
「わたしが担当したのは、この陶器の、この部分…土の成分をスタンプで表現したんです」
「へぇ~、これが…ん?なんか長いアルファベットの羅列?」
「はい、この陶器の土、モンモリロンセキっていうんです、その成分組織です」
「え?モン?モンモリ?」
モンモリロン石とは、ケイ酸塩鉱物の一種で、その化学組成は
(Na,Ca)0.33(Al,Mg)2Si4O10(OH)2・nH2O
という長いもので、これがうつわのへりにスタンプされているんです。
持ってみると以外に軽く、乳白色の中に真珠のような輝きの釉薬をまとったうつわの土の化学組成がこのアルファベットと数字で表現されるなんて。
「アートも、思いもよらず科学的」
ということなんですね。
そしてこの化学組成の反対側のへりには、スタンプを押した時間と制作番号も印字されてます。
[正面ガラスに12×78 の十字架]
林葵衣さんとの会話のなかで、
「このガラスのこの十字架も作品なんですよ、ほら、この方がその作家さんです」
と林さんが紹介してくれたのが、江畑芳(えばたかおり)さん。
ギャラリーの正面ガラスにたくさんの十字架を、
「岩絵具で描いてます、ひとの手で漉した絵具をガラスに塗って、光を通すことでどのように表情を変えるのか表現したくて」
と説明してくれました。
「機械で漉すと均一になりますけど、ひとの手だと粒子の細かい荒いがはっきりしてくるので」
ということなので触ってみると、
「おっ、ざらっとしてる…」
芸術作品といえば一般的には光を嫌うのに、この作品はその光の力を存分に活用しています。
それに、時間によって光の強さも変わるから、それも魅力のひとつになるとのこと。
江畑さんのお話を聞き終わった後に、
「ちょっと変わったアングルから…撮れないかな…」
と思って、ガラスに近づいて撮ったのが上のショットで、そのカメラ位置から少し右へずらしてみると、
「!!!なんだこれ!!!」
と思いもよらぬ画が!
この正面ガラスは厚さが約1cmほどあるんですけど、その1cmの断面を覗き込むかたちで撮ったのがこのショットです。
「…無数の鮮やかな緑色の十字架が…」
立体的に、奥行きを感じる規則正しい羅列となっているではないですか。
きっとこれは、『合わせ鏡の世界』。
「こんな偶発的なことがあるなんて…」
何の変哲もない一枚のガラスに神秘性を感じる一枚になりました。
偶然が、アートにひとの思いを超越した魅力を帯びさせる、ということなんでしょう。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。