“ I want to have a look at that work indefinitely.”
この日、三つ目のギャラリー探訪です。
三つ目ともなると、ちょっと疲れてきてアート鑑賞もどうかな、と思うこともあるけど、
「いやいや…これはずっと見ていたい…」
と思わせる作品です。それは、
GALLERY MARONIE SPACE 5
energy flow
- AOI TAMURA exhibition -
2013.10.01 {tue} ~ 10.13 {sun}
12:00 ~ 19:00
です。
白いキャンバスに、三日月形のデザインの水墨画。
作品の前に佇んで、5分ほどずっと眺めていました。
青みがかった墨の濃淡で表現された波は、激しく波打ち白き水しぶきをあげ、
キャンバスとの余白が絶妙な調和を見せている…
「この円形は、潜水艦の窓をイメージしているんです…ちょうどこの展示ギャラリーがこういった
コンクリートの打ちつけなので」
と説明してくれるのは、作家の田村葵さん。上品な雰囲気の美人さんでした。
「これは、水墨画ですね…見た目、青みがかってますけど、どんな墨を使っているんです?」
「こちらの作品は藍墨で、あちらは紫墨を使ってます」
「…いや、あの、今日ここで三つ目なんで、ちょっと疲れて、見るのも億劫かなと思ったんですけど…逆にここに座ってずっと見ていたい…そう思ったんで…墨という素材を使っているだけでしょうけど」
「その墨は、水で漉すことによってその色合いが無限に広がるんです」
そしてキャンバスに余白を残すことによって、自分のこころをそこにゆだねることができる、
と田村葵さんは言います。
すべてを描ききらないことによって生まれる表現の可能性、がそこに残される。
水墨画の不思議な魅力のひとつなんでしょう。
「なるほど…余分なものをとりはらって得られる安心感、だと思いますわ」
「それは禅に通じるものなんじゃないでしょうか」
なんでも制作期間中に禅に関する本を読んでいて、そのエッセンスも作品に表現されているそうです。
「この”energy flow”っていう名前は、どこからつけたんですか」
「これは、描くときの筆先からわたしのエネルギーが流れている、というところからきています…
そして最後にはわたしにプレイバックするということで」
その言葉を表すように、その同じ名を持つ作品には、幼き少女が描かれてます。
「ホントにずっと、ず~っと見ていたい、日本人の琴線に触れる作品」
こころからそう思います。
「や~!今日も最後にいいもの見た~!」
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。