“We have dyed every period as the old store of yuzen dyeing in Kyoto.”
『明治時代、京都の呉服商・千總十二代西村總左衛門、高島屋四代飯田新七、大規模に万国博覧会への出品輸出を行う・・・』
と清水三年坂美術館の『絹糸で描いた刺繍絵画の世界』を見てきたときに、その説明にあったので、その千總を見に行ってきました。
千總ギャラリー
千總西村家のきもの
Kimono for the Nishimura family
平成25年9月6日(金)→12月17日(火)
今回は、撮影はNGだったので、いつものごとくスケッチしてみました。
その着物に描かれた絵の美しいことうつくしいこと。
十五代夫人衣装
近江八景文様訪問着
Homongi with eight views of Omi design 昭和時代
友禅染 刺繍 yuzen-dyeing embroidery
黄蘗色(きはだいろ)?、菜の花色?、薄い黄色の地に、千草色もしくは白浅葱(しろあさぎ)といった薄い青の日本伝統の色に染められた着物です。
そのデザインは平安期の絵巻物のように俯瞰で描かれ、琵琶湖の水辺に小さな庵が刺繍され、
「はぁ~・・・なんと美しい・・・」
ここにも、なんとも神秘的な日本の美がありました。
十四代夫人衣装
能楽文様振袖
Furisode with the No play design 昭和時代
友禅染 刺繍 yuzen-dyeing embroidery
「これは・・・有職故実の冠?」
この振袖に描かれた模様は、とても独特なものでした。それらは、
巻纓(けんえい)の冠
横笛
舌長鐙(したながあぶみ、馬具)
鞍橋(くらぼね、馬具)
銜(くつわ、馬具)
この中の、巻纓(けんえい)の冠は上の写真のスケッチの真ん中に描いてあります。
耳の上辺りに緌(おいかけ)という飾りが付いたちょっと変わった平安時代の帽子です。
このような衣冠束帯のアイテムをそのデザインに組み込むなんて、
「さ!さすが1555年創業の千總!」
と思わせるものでした。
展示されている着物を見ていると、女性の地位が高いとは言えない時代が長く続いてはいたものの、召し物に対する美の追求は底の見えないくらい深いものであることがひしひしと伝わり、ガラスケースの向こう側に飾られている着物を見るだけでもその美しさを堪能することは可能だけれど、やはり女性が身にまとったほうがよりその美しさが映える、と思えました。
この千總ビルの向かい側に文椿ビルディングというビルがあって、以前その2階に『ニュートロン』というカフェがあって、何回かカフェ巡りのときに来たことがあったけど、その向かいにこんな美の伝道ギャラリーがあったとは。
「今日も伝統的美しさを見た~!」
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。