“Silk Thread Compositions in a World of Painterly Embroidery”
清水三年坂美術館に来るときはいつも、特別な感情を持ってわくわくしながら訪れます。
「あの場所には日本が誇るべき名作があふれている」
清水三年坂美術館
絹糸で描いた刺繍絵画の世界
2013/8/23 ~ 2013/11/17
老梅鷹 Hawk on an old plum tree
無銘 Unsigned
絹刺繍三曲屏風 Silk embroidered three-fold screen
今回の展覧会のメイン作品で、ポスターのモデルにもなっている刺繍絵画です。
展覧のガラスケースの向こうには、
『薄ら雪積もる中咲きほころぶ老梅に枝上の鷹』
が刺繍によって描かれています。
その鷹には、プライド・高貴・気高さ・王者の風格が見事に漂っています。
[老梅鷹ポスター]
絹とは…蚕の繭からとれる天然繊維で独特の光沢を持ち、古来より洋の東西を問わず珍重されてきました。桑の葉を食べた蚕が体内で作り出すたんぱく質:フィブロインを主成分とします。
一個の繭から約800~1200mとれる長繊維(フィラメント糸)。
刺繍の歴史は古く、日本では飛鳥時代に仏教伝来とともにシルクロードを通じて伝えられた繍仏に始まるという。
その技法をひとつ紹介します、それは相良繍い(さがらぬい)。これは布の表面に刺繍糸の結び玉を作って点を表す繍い方です。
以上は、この展覧会の解説からの引用です。
いろいろと勉強になります。
葦に虎 Tiger among reeds
無銘 Unsigned
絹刺繍額 Silk embroidered panel
虎は、強さと勇敢の象徴として作品のモチーフになっています。
そしてこの作品は、おそらく竹内栖鳳や岸竹堂の原画を元にしているとのこと。
毛皮は乱れ刺し縫いを重ねて柔らかく立体的に、目や牙、爪はより細かい糸を緻密に刺し縫いして、まさに鋭い印象に仕上がっています。
竹内栖鳳・・・近代日本画の巨星、ですよね。
読書する女 A young woman reading a book illuminated by orangelight
西村總左衛門 Label:S.NISHIMURA (Nishimura Sozaemon)
絹刺繍額 Silk embroidered panel
この作品は、赤と茶色の糸を繍い目の方向や太さを微妙に変えながら、光と影の描写を効果的に仕上げています。
「はぁ~…これは、おもしろい…」
一見、単純に見える作品ながら、額の外にろうそくの火があるかのように、それとなく感じさせるのです。
今回のレポートで紹介するのはこれだけですけど、もちろんこのほかにもすばらしい作品があります。小一時間ほどかけて、じっくり見るにはちょうどよい作品数だと思います。
「この心地よい疲れ…今日も日本の美を堪能した~!」
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。