1. 京都で遊ぼうART
  2. Report & Review
  3. 中里 楓さんの記事一覧
  4. 清水三年坂美術館 絹糸で描いた刺繍絵画の世界|中里楓のアーティスティック探訪 32

Report & Review ボランティアライター・ブロガーの皆様からお寄せいただきました
レビュー・レポートを掲載しています。

ボランティアライター・ブロガーとは

清水三年坂美術館 絹糸で描いた刺繍絵画の世界|中里楓のアーティスティック探訪 32

投稿:2013年12月11日

nakasato201312-3(1).jpg
“Silk Thread Compositions in a World of Painterly Embroidery”

清水三年坂美術館に来るときはいつも、特別な感情を持ってわくわくしながら訪れます。

「あの場所には日本が誇るべき名作があふれている」

清水三年坂美術館
絹糸で描いた刺繍絵画の世界
2013/8/23 ~ 2013/11/17

老梅鷹                 Hawk on an old plum tree
無銘                                   Unsigned
絹刺繍三曲屏風 Silk embroidered three-fold screen

今回の展覧会のメイン作品で、ポスターのモデルにもなっている刺繍絵画です。
展覧のガラスケースの向こうには、

『薄ら雪積もる中咲きほころぶ老梅に枝上の鷹』

が刺繍によって描かれています。
その鷹には、プライド・高貴・気高さ・王者の風格が見事に漂っています。

nakasato201312-3(2).jpg
[老梅鷹ポスター]

絹とは…蚕の繭からとれる天然繊維で独特の光沢を持ち、古来より洋の東西を問わず珍重されてきました。桑の葉を食べた蚕が体内で作り出すたんぱく質:フィブロインを主成分とします。
一個の繭から約800~1200mとれる長繊維(フィラメント糸)。

刺繍の歴史は古く、日本では飛鳥時代に仏教伝来とともにシルクロードを通じて伝えられた繍仏に始まるという。

その技法をひとつ紹介します、それは相良繍い(さがらぬい)。これは布の表面に刺繍糸の結び玉を作って点を表す繍い方です。

以上は、この展覧会の解説からの引用です。
いろいろと勉強になります。

葦に虎        Tiger among reeds
無銘                     Unsigned
絹刺繍額    Silk embroidered panel

虎は、強さと勇敢の象徴として作品のモチーフになっています。
そしてこの作品は、おそらく竹内栖鳳や岸竹堂の原画を元にしているとのこと。
毛皮は乱れ刺し縫いを重ねて柔らかく立体的に、目や牙、爪はより細かい糸を緻密に刺し縫いして、まさに鋭い印象に仕上がっています。
竹内栖鳳・・・近代日本画の巨星、ですよね。

読書する女      A young woman reading a book illuminated by orangelight
西村總左衛門                       Label:S.NISHIMURA (Nishimura Sozaemon)
絹刺繍額                                             Silk embroidered panel

この作品は、赤と茶色の糸を繍い目の方向や太さを微妙に変えながら、光と影の描写を効果的に仕上げています。

「はぁ~…これは、おもしろい…」

一見、単純に見える作品ながら、額の外にろうそくの火があるかのように、それとなく感じさせるのです。

今回のレポートで紹介するのはこれだけですけど、もちろんこのほかにもすばらしい作品があります。小一時間ほどかけて、じっくり見るにはちょうどよい作品数だと思います。

nakasato201312-3(3).jpg
「この心地よい疲れ…今日も日本の美を堪能した~!」
 



  • 京都で遊ぼう総合TOP
  • 京都で遊ぼうART
  • 京都で遊ぼうMUSIC
  • 京都で遊ぼうSTAY
  • 京都の銭湯