“There are a lot of days called ‘Hare’ in Japanese in our country.”
ある日の午後、ギャラリーの入り口を掃き掃除していたgallery C.A.J.のオーナーさんに勧められて、この個展に行ってきました。
ART SPACE 感 村山秀紀展
吉祥の室礼に遊ぶ
2013年12月5日[木]-15日[日]
pm.1:00 – pm.7:00
このギャラリーは、堀川通今宮一筋下ル東入ル、にあります。
『表具師』・・・文字や絵をかいた紙または布地をほかの織物や紙・木などにはって、巻物・掛軸にしたてる、表装を生業とする人
この個展の作家・村山秀紀さんは表具師です。
このような表装の個展は初めてです。
そして、
「ハレ」の日、「ケ」の日・・・
日本には、喜び祝う日と、そのほかの日常とを区別する考え方が昔からあります。
そのめでたいハレの日を飾る吉祥文様が、今回の個展のテーマでした。
「鶴松雲」
空舞う鶴の茜色、灰白色の陸地に松、濃藍の海にかかる霞雲の掛軸。
ここにも日本伝統の色がちりばめられて。
この掛軸を見ていると、近江(おうみ)、尾張(おわり)、上総(かずさ)、伯耆(ほうき)、伊予(いよ)、薩摩(さつま)など、県名で呼ぶ以前の日本の風景を見ている気になります。
その伝統色はボクたち、日本人のDNAに刻まれた記憶を呼び覚ますかのようです。
「七福神」
この掛軸は、七文字のみ。
その七人の神の個性を文字の形で表しているよう。
これは書家の川尾朋子氏の作品です。
「昨今は日本家屋も少なくなり、新築の家の造り自体も昔のものからだいぶ変わって、
このような表装もあまり活躍の場も少なくなりましたが・・・」
とは、表具師・村山秀紀さんの言葉です。
だけど、展示されている作品を見れば、間違いなく確信します、流行の家に飾っても遜色なく日本美をかもし出す、と。
「宝船」
「これはマッチのパッケージなんですよ」
とは、ギャラリーのオーナーさんの言葉です。
今ではほとんど目にすることのないマッチ箱。子供の頃にはまだ身の回りにありました。
そのデザインは宝船で、しかも木版画でできている。
さらに名と落款までも記される手の込みよう。
「ほぁ~、すごい・・・」
今回の個展で一番気に入りました。
ちいさなパッケージに籠められた、昔日の職人の遊び心を感じることができたから。
「やぁ~!今日も日本的伝統美を満喫したぁ~!」
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。