“I feel…it does not exist there.”
京都四条の街中を歩けば、クリスマスソングが鳴り響く季節です。
そんな時期、この日が気になっていた個展の最終日だったので、行ってきました。
gallery near
佐竹龍蔵展 「紙と絵具と絵画」
2013年11月22日(金)-12月4日(水)
12:00-22:00 (最終日は17:00まで)
「こどものめ」 1400×2000mm 高知麻紙 顔料 膠
「これもまた…初めて見る作風だな…」
キャンバスに近づいてみると、◇◇なるかたちが無数に折り重なり、その重なり具合が
透けて見えるのです。
「下の色が透けて見える…それで、離れると…」
サァ~ッと、輪郭のにじむあざやかなこどもの顔に見えてくるのです。
「これは平筆による点描です、岩絵具を使って描いています」
今回も作家の佐竹龍蔵さんが在廊されていたので、お話を聞くことができました。
「この絵の秘密は透過性…緑と青と、色の違う瞳はこどもの多角性を表しているんです」
たとえば、この写真。作品を近くで見たとき。
なんとなく、◇の形が折り重なっているのがわかります。
そしてぼやけた感じと透けているような感じを見て取れると思います。
これが、離れていくと…
つぎの写真のような、少女が現れるのです。
「少女」 2012年 1200×1200mm 高知麻紙 顔料 膠
近くで見て、離れていくときに感じる、その空間に存在するもどかしさ…
つかめそうでつかめない、宙に浮遊しているかのような感覚…
「近」と「遠」に挟まれたような、まったく不思議な感覚を持ったので、ほかの人はどうだろうと思い、ギャラリーに来ていた女性に聞いてみました。
「ここにない感じ、ですかね…(強烈な)絵具えのぐしていないというか…」
あぁ、やはり同じような感覚を感じている。
2次元と3次元のハザマとでも言おうか。
ギャラリーには、製作現場の様子も再現されています。
そこには、奇跡の表現を支えるアイテムがずらっと並んでいました。
「専門は日本画なんですけど、それまでの描き方に行き詰っていて…」
そんな時、平筆と岩絵具の特性に気づいて、この表現方法が生まれたそうです。
数多ある芸術制作方法の中から、奇跡的な方法を生み出したその才能にめぐり合えたことを
うれしく思います。
「今日もめちゃいいもの見た~!」
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。