“The beauty of nature is woven on the canvas called Kimono.”
小袖、といえば今の和服によく似た、むかしのふだん着、と辞書には載っています。
ここ三条烏丸の千總ギャラリーでは、美しい文様を施した小袖を見ることができます。
千總ギャラリー
恋する小袖 Kosode with Love story
2013年12月20日(金)-2014年2月18日(火)
今回、展示されている数々の小袖からは、情緒あふれる美しい日本の自然を感じることができるのです。
「これは…江戸時代の最先端ファッション…」
それがどのようなものなのかをご紹介するのに、今回も絵はがきを使います。
「紅縮緬地流水に花筏文様打掛」 江戸時代後期
このような感じで展示されています。
―めぐり会い―
春景御所車御殿文様小袖
Kosode with spring landscape and carriage design (from tale of Genji)
縮緬地・刺繍・描絵・白上げ
江戸時代後期
この小袖は『源氏物語』がモチーフになっていて、この物語に登場する姫君たちにちなんだ、御殿や御所車や梅などの文様が織り込まれています。
それらが、恋の色を表しているのでしょうか、朱色の地にちりばめられて、この小袖を着て恋心をはぐくんでいたのでしょうね、江戸時代の少女たちも。
これは、その小袖に刺繍されていた御所車をスケッチしたものです。
―別れ―
三保の松原文様振袖
Frisode with seascape of Miho,Mt.Fuji and pine tree design
絽地・描絵・刺繍
明治時代後期
この振袖の文様は、三保の松原を舞台とした謡曲「羽衣」を題材としたものです。
「ある日、漁師の白竜が三保で、一本の松に世にも美しい衣がかかっているのを見つけます。
それは月から舞い降りた天女が入浴中に脱いでいた羽衣でした…」
月夜を思わせる幻想的な紫の空に、その裾野に広がる三保の松原、遠方には富士をのぞむ松の一枝にまさしく七色の羽衣がたなびいて…
「月から舞い降りた天女…なんてSFチックな!」
この日本にも、宇宙を感じさせるような昔ばなしがあるのですね、そのスケールの大きさを感じることができて、ちょっと感動してしまいます。
このような、風景の中に文芸の一場面を盛り込んだ文様のことを、
『御所解文様』
と呼ぶそうで、江戸時代には武家の女性たちに大いに好まれたそうです。
彼女らにとって文様は単なる装飾ではなく、自らの教養や精神性を示すもの、なんだとか。
この江戸時代の審美眼は、現代女性のみなさんもどこかで受け継いでいる、と信じています。
これは、秋草筒井筒文様振袖の文様・釣瓶をスケッチしたものです。
生活に身近なアイテムまでそのデザインに組み込むなんて、さすがです。
「この日も、伝統的ジャポニズムビューティーを見た~!」
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。