“Jewelry is the microcosm that condenses human history ,culture and thoughts.”
ぽかぽかと暖かな春の日が続いていたのに、突然谷間のような寒い日が来て、そんな日にこの展覧会に行ってきました。
コンテンポラリーアートジュエリー gallery C.A.J
帯留展
2014年3月22日(土)~4月13日(日)
open 13:00~18:00
gallery C.A.J さんはいつも懇意にさせていただいてます。
今回の展覧会のポストカードをいただいていたので、とても楽しみにしていました。
それでは数ある作品の中で、気になったものをいくつかご紹介します。
田中フィリップあさと Asato Phillip Tanaka
“ In search for love” (愛を探しに)
“Another path” (もう一つの道)
“Remember your roots” (初心忘るべからず)
わかりますか?ブローチが迷路になっているんです。
よく見ると、ちゃんと入り口があってゴールもあります。
入り口から、こう行って、あっこをこっちに曲がって・・・ゴール!
というように少々あたまも使います。
身を飾るアクセサリーが、あたまのなかも霧が晴れるように澄みやかにするとは。
山岸紗綾 YAMAGISHI Saya
Microbe No.1 2 3 5 6
これらは漆・箔・金粉・銀粉・貝を使ったアクセサリー。
その日の気分でどれにするかな?
飯田賀奈子 Iida Kanako
源氏香 シルバーニッケル 若菜(春) 蛍(夏) 秋風(秋)
「源氏香(げんじこう)」とは、香道の楽しみ方のひとつで、香炉の香を聞き、それを5回繰り返し、この5回を縦線で表し、同じ香であると思われる縦線を横線でつなぐ、というもの。
たとえば、1番目と3番目が同じなら横線で上部をつなぎ、2・4・5番目の縦線が独立する図柄になります。ちなみに香道では、香を嗅ぐ、とは言わず、香を聞く、と表現します。
そしてその図柄に芸術性があるということで、着物や帯、はては家紋などにも使われることもあるとか。
この5本の線の組み合わせは52通りあり、これを源氏物語54帖のうち「桐壺」「夢浮橋」を除いた52帖に当てはめたものが「源氏香の図」と呼ばれる紋様となります。
その成立は、江戸期享保のころと言われています。
上の写真の、若菜・蛍・秋風も源氏物語からの引用です。
今回の展覧会に出品されたこの源氏香帯留は、横線縦線がアラビア数字であしらわれて、そのおかげか不思議なおしゃれ感があります。
着物にアラビア数字。そのギャップがおもしろいのでは。
それにしても、源氏香・・・平安朝から享保につづく日本文化の、その奥深さに驚嘆です。
鈴木祥太 Suzuki Shota
飾るジュエリー 真鍮・銀・銅・金粉・緑青
・・・崖の隙間に咲いた2輪の花・・・
「身に着けないときでも、部屋に飾ることで人を豊かにしたい」
とは、作家の鈴木翔太さんの言葉です。在廊されていたので、お話を聞くことができました。
緑青(りょくしょう)とは青サビのこと。よくお寺の鐘などに見る、あの緑色のことですよね。
「作品を作るときは、薬品を使って人工的に時間を早めてサビを生えさせています」
それでこのような渋みが出るのでしょう。
季節感を一番に感じる花々に、金属的光沢が加味されて時間を越える美しさが生まれた・・・
石田明里 Ishida Meiri
C.A.J. さんからいただいたポストカードにも刷られていた作品です。
この作品の珍しさに惹かれて、この展覧会に来たも同然です。
この3点は、フェルトと銅がその材質となっています。
みるからに斬新。フェルトの物柔らかさを感じます。
身に着けるアクセサリーとは、その日の気分を最初に決定付けるもの。
これらの帯留も、あなたの一日を気持ちよくさせてくれるでしょう。
ここでご紹介できなかった作品も、多数 gallery C.A.J. さんに展示されています。
ご都合がよければ、足をのばしてみるのもいいのではないでしょうか。