“What overwhelming those two masterpieces are!”
高瀬川に架かる三条小橋からのワンショット。
咲き誇るサクラが水辺に美しく映えて、
「あぁ~・・・春だなぁ~」
日差しがとても気持ちいいです。
そんな春の一日に訪れたのは、
千總ギャラリー
岸竹堂と今尾景年 明治の千總と京都画壇
2014年2月21日(金)-6月10日(火)
岸竹堂と今尾景年は二人とも明治期に活躍した日本画家です。
この日は、数少ない『学芸員によるギャラリートーク』がありました。
千總の誇るすばらしきコレクションを目の前にして、学芸員さんの詳しいお話を聞くことができるのでとても楽しみにしていました。
午後3時を回って、
「・・・これらは岸竹堂の作品で、型友禅と呼ばれる新しい手法の友禅染です・・・」
などなど、美人の学芸員おねえさんの説明が始まりました。
それはとても丁寧な内容で、専門的なお話から素人のボクらにも少しでもわかりやすいように、適切な言葉を選びながらのギャラリートークでした。
そのお話によると明治期に入って化学染料が使われるようになり、糊で輪郭を描いたり、染料を糊に混ぜ込んで制作できるようになって、自由にモチーフを描けるようになったとか。
その中の数点の作品を挙げれば、以下のようなものがあります。
●烏に鷺文様 Crow and heron design 今尾景年 縮緬地・型友禅染
これは烏や鷺の数種類の文様が間をおいてリピートされている作品。
●春秋花尽し文様 Assorted spring and autumn flowers design 岸竹堂 縮緬地・型友禅染
牡丹の紅色が鮮やかです。これこそ化学染料の効果を存分に発揮した作品です。
●孔雀に花文様 Peacock and flower design 岸竹堂 縮緬地・型友禅染
枝上にたたずむくねる体の孔雀に、羽の眼がゆらめいて・・・
●几帳に鷹文様 Hanging cloth screen and hawk design 今尾景年 縮緬地・型友禅染
翼を広げた鷹には、王者の風格が漂っています。
以下の2点の作品は、ギャラリーの入り口と奥のショーケースに納められてギャラリー自体を前後にはさむ壮大な屏風です。
●群仙図屏風 Legendary Wizards ,folding screen 今尾景年
伝説の人物たちの妖艶な天上世界を描いた道釈画です。
5歩下がって見てみれば、その東方思想的世界観の全体像を見て取れます。
●猛虎図屏風 Tigers , folding screen 岸竹堂
これは曲芸団の実物の虎を写生してできた作品。
咆哮する2頭の虎・・・その雄叫びはまるで屏風の枠を超えて響き渡るようです。
そして右隻の虎をスケッチしてみました。
屏風の虎は、リアルそのもの。
このギャラリートークの日は、2回目の閲覧でした。
真に迫る虎の姿は、見る回数を重ねるごとに少しずつ生き生きとしてくるというか、絵を鑑賞するボクを美術的に成長させてくれる、そんな教師的な作品のように感じます。
この展覧会の会期は6月10日(火)までと長いので、近くに寄ったときには何度でも訪れたいと思います。