“His DNA is searching for the beauty like in the mist.”
…ボクの持てる言語表現のはるか上を行く、深い美しさがそこにあった…
アートスペース感への訪問は2回目です。
今回も、gallery C.A.J.のオーナーさんからのお勧めでした。
ART SPACE 感
1405 帯一○ 丸山正の布
2014年5月20日(火)→5月25日(日)
pm1:00~pm7:00 (最終日はpm6:00まで)
丸山正さん。長野の作家さんということで、初めて聞くお名前でした。
「これは…着物の帯…」
ギャラリーに入るとシンプルに帯が展示されていて、最初は正直どんな感情も浮かばないとか、
どんな反応をすればいいのかわからない、というものでした。
それはやはり、普段着物類に触れる機会がない、というのが一因なのでしょう。
このように天井からつるされている帯もあれば、
○紬灰掛袋帯 絹100% MaruFactory
和室に展示されている帯もあります。
でもゆっくり時間をかけて見ていると、というか同じ時を同じ空間で過ごしていると、
これらの帯は、
・星屑のような肌理細やかな光を反射して、
・鍛えぬかれた鉄のような光沢を持ち、
・かすれ具合に独特の味をにじませながら、
・不規則なスジの瑕痕に生地の声を聞く
と肌で感じるようになる…これらの生の布(キレ)に以心伝心的な不思議な共感を持ちました。
「これは日本刺繍といって、一本一本手で縫っているのですよ」
とはアートスペース感のオーナーさんからの説明です。
(このつなぎ目が日本刺繍)
そしてこれらの帯を見ていて、さらに思うことは、
「色使いの奥深さ」
に感じ入るということ。
青、赤、黄色、といった単純な色ではなく、
「…あえて言うなら、屏風のような京都の東山の葉々の色を見ているかのよう…」
季節ごとに複雑に葉の色を変える、その奥深さに通じるものを見てとることができ、
さらにそれは時を経るほどにわたしたちになじむ、ということが『直感』でわかるのです。
○生紬 無地 絹100%
「自分の中のDNAが、なんかこう、霧の中を探し歩いている」
とはこの展覧会の作家・丸山正さんの言葉です。
現代作家一個人の才能だけでなく、幾世代もの記憶がその遺伝子の中に蓄積されていて、
その美意識が無意識のうちに作品に表れるのではないか、と。
ART SPACE 感 をお暇して、
「今日は日本の風土と才能とDNAが生み出す奥深い美しさを見た!」
と思いながらの帰り道、三条大橋を渡ったところで歌を歌っている女の子がいて、その足元のボードを見てみたら、
「長野県出身…」
と書いてあったので、立ち止まってしばらくの間歌を聴くことにしました。
というのもさきの丸山正さんも長野の作家さんで、
「おっと!長野つながり!」
と思ったからです。
陽の沈みかけた夕暮れ時、橋の横で歌う少女の歌声はとてもきれいなもので、
鴨川の風に乗ってボクたちのこころに響き渡りました。
少女の向かいのフェンスに腰掛けて歌を聴きながら、これまた似顔絵を描いてみました。
この少女は、きょんさん、長野県出身の22歳。
歌の合間に、
「似顔絵を描いてみました」
と見せてみたら、
「キャー!似てる!」
と喜んでくれました。
長野のおふたりに出会えて、とても気持ちのいい1日になりました。
三条橋ミニコンサート きょん(22歳)
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。