“Heart cocktail was the memory of our youth.”
JR京都伊勢丹のあの長い、天に届きそうな眺めのよいエスカレーターの先に、この美術館「えき」KYOTOはあります。アーティスティック探訪を始めて約1年、この美術館へは初めての訪問です。
美術館「えき」KYOTO
わたせせいぞうの世界展 ~ハートカクテルからアンを抱きしめて~
2014年5月29日(木)-6月22日(日)
ハートカクテル…
あのカレとカノジョの洗練された絵。
ボクらの中学高校時代の遠き記憶にかすかに残るもの。
この展覧会は、わたせさんのイラストレーターとしての足跡に合わせて、章ごとにまとめられて展示されていました。
第1章 コミック作家&サラリーマン誕生!!
○なんとか川 1972
この漫画の登場人物の江戸の浪人とおぼしき絵からは、後のハートカクテルは想像もできません。これは以外なことでした。
第2章 「ハートカクテル」の誕生
○ハートカクテル第1巻 1984
ボクらが本屋の雑誌の表紙に見た、あのカレとカノジョの誕生です。
『昭和・ロマンチック・テクニックの恋の駆け引き』などの言葉が頭に浮かび、それは80年代を彷彿とさせるものでした。
第3章 愛するコミック作品たち
○表紙イラスト 菜(さい) 第10巻 1997
屋根に座る耕平と菜
大きな満月をバックにキスをかわす
月から来たであろうバニーガールがお盆の団子をうっかり落とし
猫がその白い玉にたわむれる
○夏/ The Motorcycle Letters #4 2005
深い緑の中をタンデムにカノジョを乗せてツーリング
水しぶきをあげ 赤い跳ね馬が風を切る
☆表紙イラスト 14 オリジナルカレンダー 〈製作過程〉
このコーナーは、イラストカレンダーの製作過程が展示されています。
それは、
ラフスケッチ-線画-色指定-原稿-色校正-完成
という順番で丁寧に展示されていました。
第4章 ② イラストレーター ~想い出のロスアンジェルス~
○汐風の回廊 1998
(The World of Seizo Watase カタログ から参照)
「このボンネットの…光の反射が…」
すばらしい!
光の美しさをこのように描くなんて。
しかもこのオープンカーのフロントガラスには、カレとカノジョの視線の先にある、
青い海とそこに浮かぶヨットが映りこんでいるのです。
第5章 京都 「心のやすらぎ」 ~北九州 「ふるさと」
○風の景色 ~ふたりのシンフォニー~ 2014
(カタログ表紙から)
一枚の絵の中の、海の見える風景の、この澄んだ奥行きたるや!
第6章 「アンを抱きしめて 村岡花子物語」との巡り会い
○アンを抱きしめて 村岡花子物語 p.6-p7. 2014
(カタログから参照)
サクラの樹にアンがこしかけて、通の父子をながめている
空や雲もそうだけど、このサクラもわたせさん独特の描き方で表現されています。
これをなんて言葉で表現したらいいのか…
『同系色の段々畑』
仮に今はこのように言っておきます。
もっとぴったりの言い回しを思いついたら、そのときに言い直します。
「ふわぁ~~~…今回も色のきれいな絵ばっかりやったわ~…」
と恍惚となりながら会場から出てきて、ふと右手の通路に足を向けてみると、
「わ!なんだこれ!」
その壁には、わたせ作品がプリントされた、
『アートタオル』
なるものが掲げられていたのです!
となりにいたイベントのおねえさんに聞いたところ、愛媛の今治にある
『タオル美術館 ICHIHIRO 』
で作られたとのこと。
○ロージィアフタヌーン
あまりに美しすぎて、タオルとしては使われへんわ…
※○・☆印は作品名。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。