“He was the great master of Japanese modern western paintings.”
この画家も、アーティスティック探訪を始めていなければ、きっと知ることのなかったひとりです。
京都文化博物館
没後90年 近代日本洋画の巨匠 黒田清輝展
平成26年6月7日[土]-7月21日[月・祝]
この展覧会は、この偉大な画家の生涯に沿うように、いくつかの章に分かれて展示されていました。
Ⅰ パリ留学、そして転進
6 田舎家 1888 カンヴァス・油彩
ヨーロッパの片田舎の物置小屋
入り口の横の干草に現地の生活感がただよう
そのタッチからはバルビゾンを思い起こすことができる
11裸婦習作 1888 紙・木炭
木炭の持つやわらかさによるものなのか
肌の質感 筋肉のもりあがり 体の曲線や丸みに真実味があり
それらの隆起によって現れる影がみごとに描写されている
21 祈祷 1889 カンヴァス・油彩
なめらかなブルネットの髪を清潔に束ね
胸の前で手を合わす
軽くうつむき加減に祈る女性
その表情はおだやかなりて
あたかも若き母 幼きわが子を想う
(絵葉書から)
第2章 パリからグレー=シュル=ロワンへ
グレー村はフォンテーヌブローの森の南端に位置します。
その地図が会場の壁に描かれていたので、スケッチしてみました。
特2 グレーの原 1890年 カンヴァス・油彩
近くで見ると絵の具を横に塗りたくったとだけ思えるものが
2~3歩後ろに下がってみると
まさしくその野の原の風景が額の中に浮かび上がる
『朝妝(ちょうしょう)』
この作品は、黒田が「卒業試験の様な心持」で描いた、鏡を前に髪を結う裸婦。
男は女子の裸が好きで そのなめらかな肌や腰のくねりに
かすかなエロティシズムを感じ 同時に命を宿す輝きを本能で感じるもの
この絵にはそれがあり ゆえに惹かれる
第3章 白馬会の時代
95 湖畔 1897年 カンヴァス・油彩
重さをまったく感じさせない油彩
黒髪を清潔に和櫛で結い上げ
髪の生え際の下 眉間に寄せる薄い眉にアンニュイを漂わせ
その視線の先には 湖のほとり
(京都文化博物館パネルから)
智・感・情 1899年 カンヴァス・油彩
日本人女性3人の裸婦像
智…それはロダンの考える人を思い起こさせる 理性と知性
感…自信 誇り それは神々しき観音を髣髴とさせる
情…後ろめたさ 後悔 恥じらい それは人の背負う罪なのか
なれどその手は美しい 長い黒髪をかきあげて
第4章 文展・帝展時代
129 花野 Flowering Field 1907-15年 カンヴァス・油彩
黒田の師・ラファエル=コランの
《庭の隅(緑野三美人図)》の影響のある 草原の三女神
人の本質に鬼気とせまるものを感じる…
そんな展覧会でした。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。