“Divine works…those small works fascinate us in this museum.”
根付とは、巾着や煙草入れ、印籠などの提げ物につける、腰からぶら下げるための小物です。
特に江戸時代に流行した、庶民のファッションアイテムでした。
清水三年坂美術館
幕末・明治の超細密根付 Netsuke
森田藻己一派を中心に
5月24日[土]-8月17日[日]
この根付に限ったことではないけれど、江戸期を通じて幕末・明治初期は、伝統工芸という分野において豪華絢爛、その完成度が頂点に達した、日本史上とても稀有な時代であったと思うのです。
それは、この清水三年坂美術館に展示されている、また保管されている作品たちを見れば実感させてくれることなのです。
今回の展覧会では、小さな根付というものの、その細工の精密さを見ることができます。
ショーケースの中には、あの時代の職人たちの凝りに凝った工芸品が約150作品、展示されていました。
(ポストカード:説明のために引用)
上の写真の、丸い部分が根付です。
たかだか2~4cmの小さなものなのに、その細工の精密さに驚かされます。
どれもこれもすばらしい作品ばかりですが、数点ピックアップしてみましょう。
75 日本全図 一夢軒南柯(Ichimuken Nanka)
直径3~4cmの中に日本地図が細かく描かれています。
細かい文字でちゃんと国名も書かれています、
でも細かすぎて読めない・・・
それだけ精密だということです。
1 竹の中の大工 森田藻己(Morita Soko)
今回の展覧会のタイトルにも出ている森田藻己の作品です。
わずか2cmほどの筒の中に人影が!
59 生成(なまなり) 大内藻水(Ouchi Sosui)
これは能の面。
嫉妬や恨みにより角が生えかけている女性の面で、般若になる前の状態。
「なりかかり」とも呼ばれ、裏面には面の結び紐も削られています。
62 蛤に浦島太郎図 懐玉齋正次(Kaigyokusai Masatsugu)
蛤の内面に描かれる太郎、乙姫、竜宮城。
貝の合わせ目も開閉できる細工が施されています。
精密な根付を製作した代表的な作家・森田藻己。
会場の説明には、
「作品を彫る時間より、刀を研ぐ時間のほうが長かった」
とありました。作品制作の前段階にすでに傑作の生まれる予感。
「おぉ~!今日もアートな小宇宙を見た~!」
※divine work 神業
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。