“Common object is born again to a fine piece in this machiya gallery.”
仲良くさせていただいているgallery C.A.J.さんもこの白夜に参加されるというので、行ってきました。
ニュイ・ブランシュKYOTO 2014
~パリ白夜祭への架け橋~ 現代アートと過ごす夜
gallery C.A.J. 「水の音」 苗加美保×Florence Croisier
2014年10月1日(水)~10月12日(日)
この日は10月4日。
会場のギャラリーでは18:00からレセプションが始まりました。
ギャラリーの中は普段より多くの人がいて、なんだか品のいいお祭りの雰囲気です。
ホストのC.A.J.さんの開会の挨拶があり、皆さんに赤ワイン・白ワインが配られ、そして乾杯しました。
この白夜に捧げられる展覧会に登場するジュエリーデザイナーは、
苗加美保(のうかみほ)
Florence Croisier(フローランス・クロワジエ)
のおふたり。
まずはフランスから来日のフローランス・クロワジエさんの挨拶がありました。
クロワジエさんはスイス・ジュネーヴ生まれのコンテンポラリージュエリーアーティストです。
「ウォーターフォール(滝)をジュエリーで作れたら・・・」
通訳のおねえさんを通じての作品説明は、とても興味深い内容でした。
「それはアイスランドでの休暇中のことで、そこで滝を見に行き、あの岩肌を伝う水の流れをわたしのジュエリーで表現したいと思いました」
「それを可能にするのが” Titanium ”(チタン)です。電解によって色をつけます」
「わたしのジュエリーは、『体』を中心に考えています。体の動きにそってジュエリーも動く・・・まるで髪のように」
この言葉を聞いたとき、友禅の染色作家・森口邦彦氏の言葉を思い出しました。
以前、とある雑誌のインタビューを読んでいたのです。
「わたしの友禅の幾何学模様は、着たときに美しく見えるように、様々な研鑽を重ねてきました」
洋の東西を問わず、『美しきもの』に対するアーティストとしての姿勢、心構えは相通じるものがある、と感じてとてもうれしく思いました。
奇抜なデザインの、身に纏うジュエリー・・・
ギャラリーの中央に天井から掲げられた作品の、一目見たときの最初の印象は、
爽やかな「風」の通る、その「軽さ」を思わせる、その動きやすさからの「自由」。
まさしく、「既存の概念の変革」と呼ぶにふさわしいジュエリーです。
このようなアクセサリーも展示されています。
そしてこの日、ふたり目の主人公・苗加美保さんの挨拶が始まりました。
苗加さんは富山県生まれ、成安造形短期大学卒のアーティストです。
「わたしの作品は、ロックピンという結束バンドで作られています、それはこのような・・・」
と見せてくれたのは、洋服の値札を留める半透明の結束バンドでした。
「人生の中で通り過ぎてゆくたくさんの物たち、その代表的なものがロックピンで、そんなものが気になってしまうんです・・・わたしの作品はそれに目を留め命を吹き込むというものです」
この言葉は、ギャラリーC.A.J.さんの補足説明、
「このギャラリーで作品を見た後は、今までの価値観が変わる、概念を変える」
ということにもつながります。
このようなすぐに捨てられてしまう、身近なものが美しいジュエリーになるのかと。
この水面のさざなみを表現したロックピンジュエリーのモチーフは、富山の自然。
「特定の川や海というわけではないですけど・・・」
ボクの問いかけに答えてくれる苗加さんの、幼いころに過ごした富山の自然がおのずと作品に反映されているのだと思いました。
「それに加えて、素材の持つ透明感も大事にしています」
そう言われて改めて作品を見てみると、白~紫~青~緑・・・と染められたロックピンの透き通る美しさがそこにはありました。
脇役から主役へ・・・
苗加美保さんの作品は、時の経つごとに変わる水の表情をみごとに表現していました。
これも苗加さんの過去の代表的な作品です。
京の町屋で行われたジュエリー展覧会。
木のぬくもり、漆黒の落ち着き、心地良い空間。
そして人とのつながりが新たに生まれる、とても楽しい時間でした。
※common object ありふれたもの
a fine piece ひとつの優れた芸術作品
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。