“Kyoto:splendors of the Ancient Capital”
優待チケットを頂いていたので、それを片手に行ってきました。
京都国立博物館 平成知新館
京へのいざない 平成知新館オープン記念展
2014年9月13日(土)~11月16日(日)
ズラリ国宝、ずらり重文。
連休初日でもあるせいか、大勢のひとが並んでいます。
とはいってもこれはお隣の京都国立博物館 明治古都館で開催中の
「国宝 鳥獣戯画と高山寺」
の列ですけどね。平成知新館へはすんなり入ることができました。
平成知新館は平成25年度竣工、設計谷口吉生氏の真新しい美術館です。
「お~!初めて来た~!」
知新館正面の池の水面のさざなみを横に見ながら。
ここ平成知新館では館蔵品・寄託品約12,500件のなかから、
陶磁・考古・絵画・彫刻・書跡・染織・金工・漆工など様々な分野にわたる美術品・文化財を展示しています。
そんなお宝のなかから、気に入った作品をいくつか見ていきましょう。
1F‐1 彫刻 重要文化財
千手観音立像 木造彩色
奈良~平安時代 八世紀 京都 光明寺蔵
この彫刻は十一面で表情豊か。その黒いお顔はほほのふっくらしたやさしい表情をしておられます(その細い目と唇は上のイラスト右下)。
千手といっても数えられるので、数えてみたら、
右 21手 左 18手
でした、といっても裏の裏にまだ隠れていたかもしれないけど…
その右手のひとつが持っていたのが、イラスト左の水差しで、
左手のひとつの持っていたのが、イラスト右の斧です。
きっと願いをかなえてくれるアイテムなのでしょう。
これら木造彫刻の魅力はそのツルツルの肌。
「超絶技巧美術館 (山下裕二監修)」
という本によれば、やすりを使わずに彫刻刀と小道具のみでその滑らかな肌を生み出しているのだと。
「日本人って…すごい!」
思わず叫びたくなります。
1F-1 彫刻 源実朝坐像 木造彩色
江戸時代 十七世紀 京都 大通寺
武家政権鎌倉の第三代征夷大将軍。
江戸時代の彫刻師に彫られると、このようなお顔になるのですね。
1F‐2 絵巻 国宝
粉河寺縁起
平安時代 十二世紀 和歌山 粉河寺蔵
日本の絵巻物の特徴のひとつは、空中十数メートルの高さから見た俯瞰です。
それがもっとも自然な手法だったのでしょう、その視点から屋根の透けた、格子を開いた部屋のなかまでを細かく描いています。
その当時の風俗もしっかり描かれて、まるで千年前のマンガです。
登場人物も幅広く、高貴な公家から女房、粗野な武士から下男まで、表情も豊かに服装もレパートリーに富んでいます。
上のイラストは、童子に贈る財物を運ぶ下男。童子は娘の病を治してくれたのです。
このおやじの顔…とっても滑稽じゃないですか?
烏帽子も傾き、服装もよれていて、平安の絵描きのうまさが出ていると思います。
長者一家は童子が住むという粉河を目指して旅にでる。
そのときに被る傘を手渡す女房…このふくよかな顔!まさしく平安美人!
1F-5 金工 重要文化財
薙刀直し刀 無名 粟田口吉光 名物 骨喰藤四郎
鎌倉時代 十三世紀 京都 豊国神社蔵
「骨喰」は「ほねばみ」と読みます。
粟田口吉光 骨喰藤四郎…荒ぶる武者にふさわしき名なり
こんな仰々しい名前がつけられた理由は、
切るふりだけで相手の骨が砕ける、という逸話によるもの。
刀のことに詳しい「享保名物帳」によれば、豊後大友家の祖能直が源頼朝から拝領したという。
鋒からのゆるやかなふくら、刃のみつ角を境に刃先から光を反射して、
なめらかな曲線の刃文の曇り、ゆったりとした反りの日本刀…
なんて美しい…
日本刀説明イラスト
1F-6 漆工 重要文化財
西王母蒔絵椅子
桃山時代 十六世紀 京都 高台寺蔵
西王母とは、中国で古代から信仰された不老不死の女神。
賢君の威徳をたたえ、三千年に一度咲くという桃の花と実を捧げて舞うという。
この椅子は桃・桐・菊・雲竜が彩られ、まさしく覇者にふさわしい調度です。
1F-4 染織 国宝 彩絵檜扇
南北朝~室町時代 十四~十五世紀
和歌山 熊野速玉大社蔵
これはヒノキの薄板を重ねて綴じた扇で、十握現存。
四季の風景に鶴が二羽に笹。
2F-1 絵巻 重要文化財
鳥獣文様陣羽織(綴織)
生地・ペルシャサファヴィー朝 京都 高台寺蔵
ポルトガル船によって日本にもたらされたペルシャ宮廷工房作の綴織。
かわいらしいバンビが下のイラストのように織られています。
2F-3 中世絵画 重要文化財
四季花鳥図屏風 雪舟筆
室町時代 十五世紀 京都国立博物館
雪舟は周防山口の大内氏の庇護を受け遣明船で明に渡り、本場の水墨画に親しむ。
その筆は堂々と、アクの強い存在感で鶴や岩や大木を描き切っています。
2F-4 近世絵画 国宝
花鳥図襖 狩野永徳筆
桃山時代 十六世紀 京都 聚光院蔵
戦国武将三好長慶の菩提を弔うために創建された大徳寺の塔頭聚光院の方丈に描かれた障壁画。
幅の広い四面に大きな梅 松に鶴の鳴き声響き 水辺に鴨も遊び
その筆は乱世の荒々しさを表現しています。
3F-1 陶磁 重要文化財
銹絵水仙文茶碗 野々村仁清
江戸時代 十七世紀 京都 天寧寺蔵
茶人金森宗和が天寧寺に寄進した茶碗。涼やかな水仙の花一輪。
3F-2 考古 有舌尖頭器
上井手出土 縄文時代草創期
この鋭利な石器が日ノ本の未来を切り拓いたのですね…
確か今日は午後1時2時くらいに入館したはずなのに、もうすでに午後6時!
館内には閉館のアナウンスが響き渡って、
「時間が足りないわ~!」
平成知新館の展示品を堪能しようと思ったら一日仕事です…
これはまた来なければなりませんわ…
※splendors 壮麗さ
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。