中里楓のアーティスティック探訪 95
ギャラリーいのくま亭 山原晶子 個展
“Imagine a world in the aquarium.”
ギャラリーを巡る者にとって、作家ご本人からの個展開催案内のポストカードが来ると、
とてもうれしいものです。
今回はそのおはがきを片手に、猪熊通六角下るにあるギャラリーに行ってきました。
ギャラリーいのくま亭
山原晶子 個展 YAMAHARA Akiko Exhibition
2014年11月6日(木)~11月30日(日)
毎週 木・金・土・日 13:00~19:00
山原晶子さんの作品は以前、神宮道三条のギャラリー KUNST ARZTで観たことがありました。今年の4月のことでした。
四条通を河原町方面から西へ歩いて、大宮駅の手前の猪熊通を北へ折れてしばらく行くと、
そのギャラリーいのくま亭がありました。
でも、
(?こんな奥にギャラリーがあるのか…?)
と思えるような、おんぼろな造りの町屋がありました。
(なんか怪しい…)
と勘繰ってみたものの、通りには個展の看板がちゃんと立てられているし、
思い切ってそのドアを開けてみました。そこは小さな手作り感のあるお部屋でした。
まさしく、隠れ家的ギャラリーです。
そしてその壁に掲げられた絵は、とてもやさしいものでした。
またとない
そうおもう
しんかい
「これらの作品は、水槽のなかの世界をイメージして制作したそうです」
と紹介してくれたのは、ギャラリーいのくま亭のオーナー・半井(なからい)さんです。
なんでも今年の9月にここをオープンしたとか。
出来立てほやほやですね。
「見てもらうとわかりますが、緑がキーカラーになっています」
オーナーさんの説明のとおり、その淡い緑が心地好い安心感を与えてくれます。
若竹 萌黄に 木賊色 (わかたけ もえぎに とくさいろ)
『この世界の色が、山原晶子のなかに溶け込んでいる…』
これらの絵を目の前にして、ボクの細胞がふるふると反応してそう教えてくれるのです。
睡
跳び
登場人物は、作家山原晶子本人、というか分身。
作家本人は女子だけど、絵のなかでは男の子としても現れています。
その中性的なところも、なんだかふぁっとして魅力のひとつになっているのです。
南禅寺
「水槽のなかの世界」
という言葉に共感して絵を見てすぐに脳裏に浮かんだ言葉…
“バイオスフィア”
その意味するところは、
「生命生存可能領域」
無限に広い宇宙に生まれた奇跡の空間。
いのちを育むやさしさを、これらの緑色の絵のなかに感じました。
「絵だけじゃなくて、これらのアクセサリーも手作りで彼女が作っているんですよ」
とオーナーさんが見せてくれたのは、ダイオウグソクムシのアクセサリー。
なんでも山原さん自身が京都水族館で見てきたそうです。
「なんて多才な!」
ぜひとも会ってみたい作家さんです。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。