以前知り合いになった作家さんからのご招待ポストカードをいただいたので、この展覧会に行ってきました。
GALLERY 恵風
贈りもの展
2015年2月3日[火]
2月8日[日]
その作家さんというのは、ぐり友里さん。
京都精華大学出身で、岩絵の具をその表現の糧としている作家さんです。
今回の「贈りもの展」というのは、普段は高価で買うことのできない芸術作品を、その作品をコンパクトにすることによってお手頃な価格にして、わたしたちの生活の中にアートを広めよう、というコンセプトの展覧会です。
32人の作家さんの作品が所狭しと、壁に掛けられていたり、テーブルに並べられています。
ひさしぶりにお会いしたぐりさんからそれらの作品の説明を聞くことができました。
といっても一番の目的はぐりさんの作品です。
じっくりと鑑賞しました。
でもタイトルを聞くのを忘れていました(汗)。
それはカラフルな岩絵の具の素材のよさを活かした作品。
砂糖の結晶のようなザラザラ質がぐり作品の一番の特徴です。
「天然の岩絵の具って、色褪せしにくいんですよね、ほら、ニュートンって雑誌に載っているんです」
「わぁ、すごい!こんなのも読んでいるんですね」
「えぇ、岩絵の具は鉱物を砕いて使っているので原子が規則正しくならんだ結晶構造をもっているから、と書かれています」
「それに同じ名前の岩絵の具でも、業者や産地によって微妙に色が異なるんです」
ぐりさんとのギャラリートークはとても楽しいものでした。
そして、この作品を観て、この作品を言葉で伝えるために和歌を一首詠んでみました。
「桃花褐に 染まる背枝に 唐牡丹 恋の秘めたる 淡萌黄かな」 中里楓
『桃花褐』は『あらぞめ・つきぞめ』と読み、赤みうすい赤紫を表します。
そのやわらかなピンクをバックに韓紅花(からくれない)の牡丹が咲き、
淡萌黄に縁取られた大人びた和服の少女が佇んでいる、そんな絵なんです。
淡萌黄とは『うすもえぎ』と読み、緑みのあざやかな黄緑のことです。
そんな色を愛する作家:ぐり友里さんの作品をあなたのお手元にいかがでしょう?
作家さんをもうひとり、ご紹介しましょう。
このギャラリーの2階の展示室でお会いした黒宮由美さんです。
愛知県出身、京都造形芸術大学卒の作家さんです。
「うつつの海のゆめの島」 黒宮由美
たしかこのような絵だったと思います。
上の画像は思い出しながらスケッチしたものなので、正確ではないけれども、
線路のようなもの、クレーターのようなもの、森のようなものが描かれています。
不思議な世界がそこにある…
「この絵のインスピレーションは、どこからくるのですか」
と黒宮さんに聞いてみました。
「…それは、あの…」
と、うまく説明できないようでした。
「あ~、なるほど、わかりました」
作家さんのなかには、自分の作品を上手に口で表現するのが苦手な人がいます。
だからこそその内に秘めたる蠢くものをキャンパスにぶつけるのでしょう。
そんなときは、絵の前に立ってその絵と一対一で対話してみよう。
受動的ではなく、能動的に絵と向き合うのです。
あなたの五感のすべてを研ぎ澄まし…
そうすれば口下手な作家の隠れた才能の片鱗に触れることができるかもしれません。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。