郵便受けにいつの間にか届けられたポストカードは、ボクに楽しみを与えてくれます。
今回もそんな気持ちを持ちつつ、このギャラリーを訪ねました。
アートギャラリー北野
福井安紀(さだのり)土石(つちといし)で描く板絵展
2015.7/1(水)~6(月)
11AM~7PM
アートギャラリー北野は三条通と河原町通の交差点東北角にあります。
京阪三条駅から三条四条への通り道にあるので、ときどきふらりと寄るのにとても便利なのです。
土と石の作家・福井安紀さんとお会いするのは二度目です。
というのも確か同じギャラリーでの個展にお邪魔したことがあるからです。
福井さんの作品は、やわらかな木目と日本中の土と石を使って制作されています。
この写真の材料の土石を見てみると、稲村ヶ崎の土・八王子多摩の竹炭・秋田県角館の土・京都伏見稲荷の土石、果てはエジプトサハラ砂漠というものまであります。
「龍ふたり」
それら様々なタイプの土石を砕いて作った粉を使って制作された作品は、このように木目にはめ込まれ、独特の落ち着きを醸し出します。
「舞う人」
福井作品には珍しい立体的オブジェ。
天女が空を舞う姿が幻想的。そこはかとなく仏教要素が加えられています。
それが独特の味を醸し出しています。
「雲のすき間」
これは谷崎純一郎による中編小説「春琴抄」をモチーフにした春画です。
盲目の三味線弾き・春琴に丁稚の佐助が献身的に仕えていく物語で、著名なところでは春琴を山口百恵、佐助を三浦友和が演じた「春琴抄」が1976年に放映されています。
「…阿阿 やわらかな つながりを こんなに 触れてよいものか…」
(作品内の言葉から引用)
うねる雲の向こう側に、言葉の上では認め合わないふたりが、本能で繋がり合う姿が浮かび上がって…
今回の個展でかすかな衝撃を受けた作品でした。
それゆえ土と石での表現に、新たな可能性を見出すことのできる作品だと思います。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。