『虫明焼』という珍しい名前の焼き物を、堀川通沿いの裏千家茶道資料館にて鑑賞してきました。数ある名品のうち、気を引かれた数点を紹介したいと思います。
館内の作品撮影はNG、だけど模写は許可されたので、いつものようにボクが描いたスケッチをもとにご紹介します。
楽焼 赤楽引舟香合 樂了入作 江戸時代 19世紀 今日庵蔵
香合(こうごう)とは香を入れる入れ物です。そしてこの変わった形は、雨の中で蓑笠を着て舟を引く人足の姿を模したもの。
この焼き物全体は、深緋(こきあけ)から赤紅(あかべに)をまとい、三角頭には淡香(うすこう)と鉄色(てついろ)の膜が張っています。
舟を引く人足の姿がこのようなイビツなカタチにとって代わって表現されようとは、樂焼の世界の奥深さを感じます。
「う~ん・・・むずかしい!」
虫明焼 氷裂文茶碗 銘君が代 江戸時代 19世紀
伊木三猿斎の氷の絵と玄々斎が『君が代』と銘をつけた茶碗。
このふたりとは、岡山藩筆頭家老伊木家14代当主三猿斎忠澄と裏千家11代家元玄々斎のこと。
淡い灰汁色(あくいろ)と白鼠(しろねずみ)の釉薬をまとった椀の側面にツギハギ模様の氷の裂け文があしらわれた、素朴な一椀です。
「んんん・・・達人の域・・・なのか?」
虫明焼 信楽茶碗 真葛香山作 明治時代 19世紀 野崎家塩業歴史館
外面に釉薬はかけず内面にのみ釉薬を施した、背高の筒茶碗です。
ゆえに土の蒲茶(かばちゃ)色がそのままに、上部と下部の横筋とその間に抉るようなレ点が特徴的です。
「むむむ・・・遊び心の現れか・・・?」
焼き物の世界に、虫明焼というものがあると知ったのは今回の収穫でした。
名前も面白いし、和歌にも詠われているようで風流も感じます。
でも、ちょっと今のボクにはむずかしかったみたいで、あと数回向き合ってみる必要がありそうです。
でも、こうも思います・・・
May this Mushiage-yaki Ware become so popular in the galaxy!
(この虫明焼が銀河系でとても人気者になりますように!)
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。