“Get out! Is this really woodblock print?!”①
(まじかよ!これがほんとに版画なの?!)
今回、訪れた展覧会、
「われらが住むこの国が、こんなにも美しいものだったのか」
と改めて気づかせてくれる作品の数々でした。
『新版画』と呼ばれる新しい芸術の波を代表するふたりの逸材。
それは、川瀬巴水(かわせはすい)と吉田博。
彼らの作品への、短評を紹介に代えて。
〇東京二十景 桜田門 川瀬巴水 昭和3年
お堀の水面に浮かぶ桜田門のゆがみ具合が絶妙。
〇元箱根見南山荘風景(6)湖畔茶室の夜雨 川瀬巴水 昭和10年夏
すじすじの雨に郷愁を誘われる。
〇旅みやげ 第三集 飛騨中山七里 (雪中) 川瀬巴水 大正13年
雪舞う山奥田舎の原風景。
●日本南アルプス集 駒ケ岳山頂より 吉田博 昭和3年
もくもく感に灰色グラデーション、雲の輪郭流れる如し。
●瀬戸内海集 第二 木の江 吉田博 昭和5年
穏やかな水面にゆらゆらめく橙の船。
●陽明門 吉田博 昭和12年
徳川の威信を余すところなく世に知らしめる。
これらの新版画は、海外の著名人たちをも魅了しています。
そのなかにはあの、悲劇の妃もいました。
それを紹介するキャプションに書かれていた一節をここに記しておきます。
Yoshida Hiroshi’s Shin-hanga
Woodblock Prints Beloved by Princess Diana
そう、それは英国のダイアナ妃。彼女の執務室、ダイアナ妃の背の後ろの壁に吉田博の版画が掛けられているのです。吉田博の版画は、彼女の審美眼にかなう作品だったのです。
すべての作品を見終わるころには、美しき景色を持つこの国と、それを余すことなく表現できる芸術家がいることに大いなる誇りを感じていました。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。