11月29日。京都市美術館開館80周年記念 竹内栖鳳展 近代日本画の巨人へ行く。
この猫の前にひとだかりができていた。
うちの猫にそっくりである。目の色、毛の色と配置。
太り加減。なので、ちょっと得意になる。(勝手に。)
「毛描き」(日本画で、人物や鳥獣の毛を細かく描くこと。また、描いたもの。)
という言葉を知る。毛に空気がたまっている。
毛にたまった空気が温まって、動物のにおいがする。
そんな絵だった。ライオンは、端正な顔立ちで、野性っぽい。
風に溶けてしまいそうなライオン。動物園で見る限りでは、
ライオンはもっとぼんやりした顔なのだと思う。美化された獅子。
イメージのライオン。「いいぞ」と心に響いてすっきりする。
魚もいい。鳥もいい。風景もいい。かわいいものはかわいく、りりしいものは
りりしく描かれている。
同時開催の展示にも足を向ける。
「下絵を読み解く ~ 竹内栖鳳の下絵と素描」
下書きの展示。ストーリーを仕立てていくように1枚の絵を仕上げていた。
配置、構図、小物の選択「見て、美しいと思う」状態にデザインしている。
絵は組み立てるものなのだな、と思った。その精緻な感じが「日本画」な気がした。
整えられているのに、画面からあふれて感じるものがある。
どうすればあふれるのか、追及されている。俳句や短歌と似た仕組み。
どう描けば、どう感じるか。栖鳳はよくわかっていて、頭がいい。
うえに優しい。芸術家であり、サービス業の手練れでもあるといえそう。
帰り道の空が柔らかい。栖鳳ならこんな雲はどう描いただろう。
美術館の帰り道は、ほろ酔いな、いい気分になる。