突然ですが、みなさんは「型紙」に興味はありますか?
染物やものを作るとき、とても大切な役割を担う型紙。
だけども、今までスポットライトが当たったことはないのでは。
日本画や洋画、または染物や工芸品が好き!
という方は多いかと思います。ぼくもそうです。
だけども、裏方の「道具」である型紙が大好き!という方はなかなか少ないのではないでしょうか?
今回のKATAGAMI Styleでは、そんな日本の型紙に注目し、その型紙が西洋の芸術にどのように影響を与えたのかを紹介。
今までにない、画期的な展覧会だと思います。
展示室に入るとまず、日本の伝統的な型紙と、それによって染め出された衣服の展示から始まります。
さっそくビックリなのが、その細やかさ。
細やかで、繊細で、何より綺麗。
この時点で、型紙の芸術性に驚かされます。
「鉄線に菊唐草」はシンメトリーな美しさがあり、
「稲穂にすずめ」では曲線の美しさに見入ってしまいます。
そして興味深い展示が2点。
1つは当時の女性向けの、ファッション誌が展示されていました。いつの時代も、女性はファッションが大好きなのです。
もう1つはシーボルトの持ち帰った型紙。
オランダのお医者さんであるシーボルトが、わざわざ持ち帰った型紙。
西洋の方にとって、「道具」ではなく素晴らしい「アート」だったのです。
このように、少しずつ西洋に運ばれていった日本の型紙は、欧米のデザインに影響を与えます。
次の展示室からは、日本の型紙に影響を受けた、西洋の芸術の展示です。
続いては、影響を受けた英米の作品の展示へ。
古いティファニーの作品などもあり、1つ1つがとても綺麗。
その中でも、「アーモンドの花と燕」という作品に注目。
満開のアーモンドの花の中を、華麗に舞う燕。
よく見ると、日本画の桜と野鳥の絵のように見えてきます。
西洋のデザインの中に、しっかりと「日本」が感じられる、綺麗な作品です。
3つ目のフロアは、アールヌーヴォーの展示です。
アールヌーヴォーといえば、ミュシャ。今回もいらっしゃいました。
大好きで、何度も見ているミュシャの作品も、こうやって型紙の影響を考えて見てみると、いつもと違う美しさが見えてくるのだから不思議。
滝のプリントのテキスタイルなども、水墨画のようでもあり、西洋のモダンな印象もあったりと見ていておもしろいです。
また、鯉の滝登りや、鷹に風雲など、明らかに日本から影響を受けたモチーフの作品もあるのですが、その表現はやわらかな曲線を使った西洋風。このミックス具合がまたおもしろいのです。
このように、「道具」が海を超え「アート」になった姿を、たくさん見ることができる展覧会です。
展示内容も、染物から絵画、小物、家具など、型紙から影響を受けたものが幅広く展示されており、盛りだくさん。
グッズ販売も充実していて、とてもオススメな展覧会です。
また、4階の常設展の入口からは、平安神宮の大きな鳥居が間近で見られるのもオススメポイントです。
型紙の持つ芸術性と、それが海を超えて広まった影響力を、ぜひごらんになってみてください。
学生時代を過ごした京都が大好きで、お寺や美術館、雑貨屋さんなどをぶらぶらと散策しています。特にお寺には、ヒマさえあれば訪れています。 京都の魅力について、少しでも伝えることができればいいなと思っていますので、よろしくお願い致します。