法雲寺で菊野大明神を参拝して、すっかり縁切りモードになった私。
現世に戻るために静かな祠を出てにぎやかな御池通りを歩きます。
人間の深い情念の世界から、車や人が賑やかに往来する道を歩いていると、なんだかほっとする気分でした。魔界巡礼、異界巡礼も一つのテーマですが、人間の哀しみや苦しみが凝縮されているような狭い空間は、どうも苦手です。
下御霊神社には怨霊がお祀りされていますが、それはもう遠い昔に亡くなった方々です。菊野大明神に参拝に来る人たちは、現在進行形で悩み苦しみと直面している。もちろん他の神社でも悩みを抱えた人たちが参拝していますが、ちょっと場の雰囲気が違いました。
気分を切り替えてずんずん歩いていくと、御所八幡宮に着きました。こちらは、上品な建物の神社です。
御所八幡宮は、かつて室町幕府・初代将軍『足利尊氏』の邸宅に守護神(八幡神)として勧請された事からその名が付いた神社です。祭神は応神天皇、神功皇后、比売神です。安産・幼児の守り神として知られ、子供の夜泣き、疳の虫退治に御利益があるという三宅八幡宮とともに「虫八幡」と呼ばれているそうです。御池通に面していることから「御池の八幡さん」として親しまれています。
その日は小さな子どもと一緒に参拝している若い母親がいました。お賽銭を上げて二人で手を合わせています。
二度目に参拝した時も、よちよち歩きの赤ちゃんを連れた年配の女性がいました。通り沿いにあり気軽に寄れるということもあるでしょうし、やはり幼児の守り神ということで、子どもを連れて参拝に訪れる方が多いのかもしれません。
御所八幡宮も他の神社と同じように応仁の乱で焼けたり、移転したりするたびに規模が小さくなっています。
世の流れとはいえ、由緒のある神社が狭い境内になっているのは、寂しいことかもしれませんが、広くても誰も参拝しない神社より良いでしょう。氏子の方たちに大切にされている様子が見てわかりました。地域の方たちに愛されているなあと感じた神社でした。
三重県四日市市で生まれ育ち、嫁ぎ先も四日市市内。東海道43番目の宿場町である四日市から、鉄道に乗って京都へ旅をすることがこれからのライフワークの一つです。愛用のミラーレス一眼レフを抱えて、京都を探索していくつもりです。スピリチュアルがテーマのポータルサイト「Wonder times」でコラムを連載中。「All About三重ガイド」