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法雲寺の菊野大明神は薄暗かった

投稿:2014年5月23日

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下御霊神社から行願寺に寄って、次に目指したのは法雲寺です。看板がなければ見逃してしまいそうなビルの間にある小さなお寺でした。本堂の前は駐車場になっていました。お寺の収入だけでは経営が大変なのでしょう。

庫裏を通りぬけて庭に出ると祠がありました。祠の中は薄暗くて気味悪く感じられました。誰もいなかったからかもしれません。もっとも誰かがいて、真剣にお参りをしている場面に出くわすのも怖い場所でした。

ここには、男女の悪縁を切ることで有名な菊野大明神がお祀りされているのです。1788年の大火で全焼してしまった寺を再建する際に、何処からともなく現れた山伏が「霊石があるのを知っているか。祀らなければいけないぞ」と当時の住職に伝えたそうです。言われたとおりに境内を掘って探したところ、「霊石
が出てきたのです。

この「霊石」は小野小町に恋焦がれて百夜通いをして叶わなかった深草少将が腰掛けて休んだ石とされていて、少将の無念の想いが男女を別れさせると伝えられています。

また、「宇治の橋姫」が宇治から貴船神社へと通う毎夜、この石に腰を掛けて休んだからだという伝説もあるそうです。どちらにしても、男女の仲に悩み抜いた男と女の情念が込められている石が菊野大明神なのです。

京都では婚礼の時はけっして菊野大明神の傍らを通らないそうですが、地元の方に確認したわけではありません。一条戻橋も婚礼の時には通らないという話がありますから、縁起の悪いものに近寄らないのが一番ですね。

お参りのための護摩木には、誰と別れたいかという縁切りのお願いが詳しく書かれているようでした。私が参拝した時は静かな祠でしたが、誰かの手によって文字が記された護摩木はたくさん置いてありましたので、別れたいという気持ちでここを訪れる人は多いと思われます。

あまり頻繁に近づかない方が良い場所の一つでしょう。



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