京都へ月に一度行って歩くという贅沢なウォーキングを始めたきっかけは、御霊神社の存在が大きいのです。怨霊封じの神社に行ってみたいという好奇心です。怨霊といえば、北野天満宮にお祀りされている菅原道真公しか知らなかったのですが、他にもいろいろあることが京都の本を読んでいるうちにわかってきたからなのです。
桓武天皇は怨霊がよほど怖かったのでしょう。怨霊、魔物から都を守るために様々な工夫をしていました。
その一つが御霊神社です。祭神は、崇道天皇、他部親王、井上皇后、火雷神、藤原大夫神、文屋宮田麿、橘逸勢、吉備大臣です。桓武天皇の頃、天変地異や疫病の流行があいつぎ、それは非運の中に亡くなられた高貴な人々のたたりであるとされたので、その怨霊をお祀りすることが神社の目的でした。ご利益ではなく、怨霊封じのための神社なのです。
前の月に参拝したのが、下御霊神社で今回は上御霊神社です。
地下鉄烏丸鞍馬口から100m余りの場所にありました。それほど広くない静かな境内は美しく、良い場所に来たなあと思いました。静かな歴史のある京都を味わうには最適な場所かもしれません。神職の方がご朱印の受付をされている方とは別に建物の清掃をされていました。きちんと場が清められていると感じました。枝垂桜も美しく咲き、春を楽しむには良い場所でした。
この神社の外には応仁の乱勃発の地という石碑がありました。それまで参拝した寺社の説明のほとんどに、応仁の乱で建物が焼失したという記述があり、怨霊を祀る神社から、京都を焼き尽くす戦乱が始まるというのは、まさしく祟りのような気もします。死者としての怨霊は封じることはできても、争いの心を持ち生きている人たちの心を鎮める力は神社にはなかったようですね。
また違う季節に参拝したいと思います。
三重県四日市市で生まれ育ち、嫁ぎ先も四日市市内。東海道43番目の宿場町である四日市から、鉄道に乗って京都へ旅をすることがこれからのライフワークの一つです。愛用のミラーレス一眼レフを抱えて、京都を探索していくつもりです。スピリチュアルがテーマのポータルサイト「Wonder times」でコラムを連載中。「All About三重ガイド」