京都文化博物館で開催されているレオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展 に行ってきました。
イタリアはフィレンツェにあるシニョリ―ア宮殿における、ダ・ヴィンチとミケランジェロという二大巨匠による戦闘画の競演は、幻の計画として実現しないまま多くの謎を残して今に至る。
失われたダ・ヴィンチの壁画は未だ壁の中に眠り、全貌は明らかになっていない。
二人の巨匠による未完成の作品は、多くの画家による下絵の模写によって後世に伝わり、今回の企画で500年の時を経て初めて並び合う――。
作品を観る前に、まず、この大きな謎と今回の企画の試みに鳥肌が立ちました。
美術展と言うよりも、ミステリーの謎解きみたいだ!と思ったからです。
その期待通り、大壁画計画に関する資料や模写作品などをもとに、丁寧な検証と考察が展開されていて、とても興味深い内容でした。
とはいえ、学術的な検証や先端技術によって少しずつ解明されていく過程に面白さを感じつつも、未だ謎が残っている…という点に「そうでないとね。」と歴史のロマンを感じて喜んでしまいました。
そしてもちろん、日本初公開の《ダヴォラ・ドーリア》、板絵《カッシナの戦い》の魅力にも圧倒されます。
精密に描かれた人間の筋肉や構造、戦いの緊迫感を伝える構図は、確かに多くの画家が「ここから学ばなければ!!」という気持ちで模写をした事実を納得させるものでした。
この企画展の最後にはダ・ヴィンチ自身に関する展示がありますが、そこに「手早さより勤勉を旨とするよう、まず心がけること。」という彼の言葉が紹介されていました。
模写や派生作品をみると、美術もまた努力と勉強を重ねて精進するものなのだなあ…と感じました。
美術作品としての魅力もさることながら、学術的な謎解きや、画家たちの学ぶ姿勢、ダ・ヴィンチの絵画への考え方と情熱など…さまざまな側面から楽しめる企画展でした。