西陣は浄福寺通り、石畳の小みちにある「織成舘」へ行ってきました。
こちらでは、1月24日から2月5日まで、「おもいで・うしろ姿 ミニチュアきもの展」が開催されています。
可愛いミニチュアの、きものたちに会いに行ってきました。
織成舘はもともと、帯地製造業「渡文」(わたぶん)の初代当主、文七氏の「店兼住まい」だったところですが、平成元年に手織りの技術を広く一般に知ってもらおうと、ミュージアムとしてオープンしました。
立派な「西陣織屋建」の、のれんをくぐると右手に織成舘入り口があります。
玄関入ってすぐ左に井戸があります。おくどさん=竈(かまど)など)を取り除きましたが、昔は炊事場だったところで、こちらの井戸は今でも生活用水(飲料水ではなく)として利用されているそうです。
井戸の上には「提灯箱」と「蝋燭箱」が壁に掛かっています。
小さいのが「ちょうちん箱」、山と文の文字が読めるほうは「ろうそく箱」。
夜道を照らすちょうちん、お祭りのときに活躍したろうそくが収められていたそうです。
当時の暮らしの面影を残しながら、インテリアとしてもステキだなと思いました。
建物自体は昭和11年に建てられたそうですが、一部改築され1階には能装束や、時代衣装が展示されて
います。それでも、梁や大黒柱などはそのまま残し、明り取りの天窓も当時のまま。
西陣の伝統的な家屋の特色を見ることができます。
舘で唯一手に触れてもよい、手織りと機械織りのサンプルがおかれています。
手にとって裏返して見てください。手さわり、質感、重さなど、その違いがよくわかります。
一階奥の間には売店コーナーがあり、続き間にはセルフでお茶をいただけるようになっていますが、ここは
最後にして、順序とおり、二階へ行きました。
二階が今回のミニチュアきものの展示コーナーです。
階段をあがり、目に入った瞬間に「可愛い!」と思わず口から出ました。
ほんとうに、なんて可愛いんでしょう!
たんすの中の思い出のきものたちが、小さいけれど見事に生まれ変わって誇らしげに並んでいます。
金屏風の前に飾られたミニチュアたちが素晴らしい作品となって迎えてくれます。
きもの好きのわたしですが、自分が着るきものには、こんな感情は湧いてこないな・・
ミニチュアというだけで、そりゃあ可愛いし丁寧な手仕事が見事に芸術作品となって展示されている。
圧倒される感じすらします。
にこにこと自然に顔がほころびながら、次々と小さなきものたちを見てまわりました。
そして、工場長の楽しくてためになるお話を聞きに工場見学へ。
職員の方が、時間になると声をかけて案内してくれます。
伝統工芸師さんが能装束を織っておられました。
間近で見ることができるのも、工場見学ならではです。
ちなみにきものは一枚、二枚。能装束は一領、二領と数えるそうです。
工場長さんのお話を聞き、またいろんなサンプルを見せてもらいながら
きもの、帯、和の装いを改めて日本人が世界に誇れるすばらしい民族衣装であると思いました。
「きもの、着よう!最近は着てないなあ」
なんて思いながら、商品として展示している色とりどりの帯を鑑賞して
目の保養をさせてもらいました。
さすが、「美しいキモノ」本の裏表紙にいつも広告が掲載されている「渡文」の帯ですね。
和の世界をゆっくり味わいました。
1階に下りてお茶をいただいていると、職員の方が菓子まで出してくださり、入場料500円でお茶と菓子つき
なんて、京都の博物館にはそうあることではありません。
ふわふわのお座布団に座ってあったかいお茶をいただいて、ほっこりとして舘をあとにしました。
今度はきものを着て、またおじゃましましょう。
織成舘は展示だけでなく、工場見学や手織り体験、気に入れば帯の購入もできます。
今回は、ミニチュアきもののワークショップも開かれており、創作の現場を見ることもできました。