出身の青森の風景がいつも心にあったということだが、その影響か。
北国の冬空のイメージ、作品の多くは黒や濃紺といった背景に白く浮き上がる静物。
暗闇の中に浮かび上がった花や顔。黒と白や赤などの色のコントラストが美しい。
不思議なことにキャンパス全体が暗い作品はあまりない。
たとえ深い雪で閉ざされた世界でも、いつも惹かれる何かがあったのだろう。
不要な物は闇が消してくれている。とても静かな絵だけれど、必要最小限に事物を抑えることにより、より印象に残る作品となっている気がする。
わたしが小学生のとき、図画の時間で、画用紙を色々な絵の具で色づけした後、その上から黒のクレパスで塗りつぶし、釘のようなもので黒のクレパスの層を部分的に削り、下から綺麗な色が出てくるのを楽しむというのをやったことがある。
渡辺貞一の作品を見て、ふと思い出した。
以上、そら でした。