扉が開いて、すぐそこに大好きな「蛸唐草」の豆皿があったのです。
エントランスにてもぅ~メロメロです。丁寧な職人の手書き染め付けに、清々しい白と青が大のお気に入りでした。
だからチョッパナから1等賞に出くわした訳です。
しかし、館内は小さきものたちが埋め尽くす状態で、しかも、その展示も工夫されておりました。
豆皿は大量にまき散らした状態の展示あり。
また、ついつい気になる高台や底に書かれている文字も見やすいように両側から鑑賞出来るようになっているコーナーもあって、時間のたつのを忘れます。コレクションには華奢な硝子の豆皿もありました。
館内の照明は少し薄暗くしてあるのですが、それが功を奏して時代の香りを逃がすことなく素敵でした。明るい照明ならお目々がすぐにチカチカしていたことでしょう。
豆皿の次が帯留コーナー。もぅ~キモノファンにはたまりません。
洒落た歌舞伎系や舞妓さんの帯留や、宝石の凝ったものだったり、しかも季節の約束事をキチンと表現した涼やかなものだったりと、本当に丁寧に制作された帯留ばかりです。
その紐との調和もみどころです。心の中で何回「きゃ~!素敵」って言ったことでしょうか?
万歩計みたいに測定する機械があれば、この時点で軽く100きゃ~!や200きゃ~!は軽く越えていましょう(笑)
誰も下さるとはおっしゃってませんのに「貰えるのなら、あれやねぇ~こっちもええわ」と止まっては歩む亀の歩みの鑑賞でした。
ポチ袋のコーナーでは、浮世絵版画に匹敵する作品も多く、仕掛けになっているポチ袋には懐かしさと、ぼんやりした記憶の断片も甦りました。
祖母が大切にお裁縫箱に仕舞ってあったポチ袋を見つけて、触ってちぎってしまいそうに乱暴に扱って叱られた記憶です。
お色気・洒脱・粋・モダンとその小さな和紙で出来たポチ袋は、状態も完璧です。ポチ袋をまとめて入れる袋も共に展示されて、その袋のお陰で色あせしていないのです。
洋紙では得られないであろう、柔らかさが心憎いな、と大納得です。
あっ~という間の2時間半!お着物をお召しのご来場客も多く、そのご婦人達はそれぞれにお好みの帯留めを心の中にしっかり取り込まれたかしら?または、迷いながら決めかねて帰路へ。
豆皿・帯留・ポチ袋などがいつまでも頭の中でリフレーンして、誰しも余韻がかなり大きかった企画展ではないでしょうか。
文:京おはるぅ~